「最善の人生」より

「最善の人生」より

2022.11.09

ハリー・スタイルズからイニャリトゥ監督まで。新作配信オススメ作品6選 11月:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、村山章、大野友嘉子、梅山富美子の4人です。

ひとしねま

須永貴子

「オンラインの森」筆者が持ち回りで、最新配信作品からオススメ作品をピックアップ。毎月10日に更新し、注目ポイントを解説します。ネクストブレークは、きっとここから!
 

© Amazon Studios.

ハリー・スタイルズ主演! 男2人と女1人の関係を描いた人間ドラマ

 イギリス南部の海辺の街・ブライトンを舞台に繰り広げられる人間ドラマ。同性愛が違法だった1950年代、警察官のトム(ハリー・スタイルズ)は教師のマリオン(エマ・コリン)と結婚するが、街に越してきた博物館キュレーターのパトリック(デビッド・ドーソン)との禁断の関係を続けていた。90年代、それぞれに後悔を抱えて生きる3人は、過去の傷を癒すチャンスを得るが……。「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」でコリン・ファースとジュード・ロウが演じる編集者と作家の、誰も介入できない強烈な関係性を描いたマイケル・グランデージ監督が、男2人+女1人の関係をどう描くのかに期待。英国映画好きには外せない1本。
 
「僕の巡査」
Amazon Prime Videoで独占配信中 
監督:マイケル・グランデージ
出演:ハリー・スタイルズ、エマ・コリン、デビッド・ドーソン
 
 
Alex Bailey/Netflix © 2022

「ストレンジャー・シングス」のミリー・ボビー・ブラウン主演のミステリアドベンチャー第2弾!

 シャーロック・ホームズの妹・エノーラが、兄ゆずりの推理力を発揮して事件を解決していくミステリアドベンチャー。「ストレンジャー・シングス」のミリー・ボビー・ブラウンが、1880年代の男性優位な社会で、自分の意思を貫く16歳の少女を闊達(かったつ)に演じた。続編となる本作では、ロンドンで探偵業を始めたエノーラが、“マッチ工場の少女”の行方不明事件の捜査に挑む。女性の共闘の気配がする本作は、ガールズ・エンパワメント映画からウィメン・エンパワメント映画へとパワーアップしている予感。前作でエノーラと出会ったテュークスベリー(ルイス・パートリッジ)とのロマンスの続きも気になる!
 
「エノーラ・ホームズの事件簿2」
Netflixにて独占配信中
監督:ハリー・ブラッドビア
出演:ミリー・ボビー・ブラウン、ヘンリー・カビル、ヘレナ・ボナム=カーター、デビッド・シューリス
 

Netflix © 2022

黒人映画の進化と道のりをたどるドキュメンタリー

文化評論家であり歴史家でもあるエルビス・ミッチェルが、70年代の映画を中心に、黒人映画の進化と変革の道のりをたどるドキュメンタリー。エポックメキングな黒人映画の数々が引用されているだけでなく、ウーピー・ゴールドバーグやローレンス・フィッシュバーン、サミュエル・L・ジャクソンといったそうそうたるメンツが新規インタビューに応じ、黒人映画について当事者目線で語っている。予告編ですでに編集と音楽のセンスが爆発しているので、黒人映画史をお堅く“学ぶ”のではなく、楽しく“感じる”ことができそうだ。

「ブラック・イナフ?!? -アメリカ黒人映画史-」
11月11日(金)17:00よりNetflixで独占配信開始
監督:エルビス・ミッチェル
出演:サミュエル・L・ジャクソン、ウーピー・ゴールドバーグ、ローレンス・フィッシュバーン


©2022 Amazon Studios.

「ハングオーバー!」+「クレイジー・リッチ!」⁈なウエディングコメディー

アメリカに暮らす姉弟が、疎遠な異母の結婚式に出席するために、母親を連れてイギリスの美しい田園地帯を訪れる。留置所にいる3人のショットから始まる予告編は、映像が高速逆回転し、彼らに何が起きたのかが明らかになっていく「ハングオーバー!」スタイルだが、本編はいかに? 異母姉が裕福なので、バチェロレッテパーティーやリハーサルディナーのシーンでは「クレイジー・リッチ!」的な見ごたえがありそうだ。AMAZON STUDIOS公式サイトにある「結婚式への出席をできるだけ避けてきたのに無理やり出席させられる人へ」という一文で、視聴欲求が一気にアップした。

「はちゃめちゃウェディング~世界一の迷惑家族~」
11月18日よりAmazon Prime Videoで独占配信開始
監督:クレア・スキャンロン
出演:アリソン・ジャネイ、クリステン・ベル、ベン・プラット


18歳の女子高生3人を描いた青春映画

2021年の釜山映画批評家協会賞で2冠を獲得した注目作。イム・ソラの小説を原作に、地方都市に暮らす18歳の女子高生3人の、友情と混沌を描く青春映画。主人公のガンイが“偽装転入で金持ちの町にある高校に通う”という設定、ガンイの不機嫌そうな横顔、3人を捉えたショットの暗いみずみずしさが秀逸。予告編を締める、「より良い人生のために悪い道を選んだ。それが最善だった」という詩的なモノローグが、見なければいけない映画だと確信させる。監督は本作で長編デビューを果たすイ・ウジョン。
 
「最善の人生」
11月25日(月)より映画配信サービスJAIHOで独占配信開始
監督:イ・ウジョン
出演:パン・ミナ、シム・ダルギ、ハン・ソンミン
 

SeoJu Park/Netflix © 2022

久々に母国のメキシコで撮影したイニャリトゥ監督最新作!

ロサンゼルスを拠点に活動するジャーナリストの主人公が、母国メキシコに戻ったことから始まる心の旅路を描く。初期のジャン=ピエール・ジュネや近年のウディ・アレン作品にスタッフィングされてきた撮影監督ダリウス・コンジがイニャリトゥ組に初参加。彼が65mmフィルムで撮影した、シュールでパワフル、そして美しい映像を浴びるのが楽しみだ。イニャリトゥ監督にとって「アモーレス・ペロス」以来という、母国メキシコでの撮影が、主人公の帰郷に重なって生み出す相乗効果にも期待したい。ただ、174分(ほぼ3時間!)という長尺がやや不安ではあるが。

「バルド、偽りの記録と一握りの真実」
12月16日(金)よりNetflixで独占配信開始(一部劇場にて11月18日より上映)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ダニエル・ヒメネス・カチョ、グリセルダ・シシリアニ、ヒメナ・ラマドリッド 

ライター
ひとしねま

須永貴子

すなが・たかこ ライター。映画やドラマ、TVバラエティーをメインの領域に、インタビューや作品レビューを執筆。仕事以外で好きなものは、食、酒、旅、犬。