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2023.8.14
「鬼滅の刃」を想起させる韓国の人気ドラマシリーズ「悪霊狩猟団:カウンターズ」シーズン2:オンラインの森
赤ジャージーのアイツらが帰ってきた!
2年前に配信されたドラマ「悪霊狩猟団:カウンターズ」のシーズン2が7月下旬からスタートした。進化した悪霊、クセ強めな新キャスト、ド迫力の演出で、作品全体がパワーアップした。
カウンターとは、現世に逃げた悪霊を捕まえ、あの世に連れて行く人間のこと。元々は事故や事件に遭って昏睡状態に陥った人々だが、天(窿)から素質を見いだされ、悪霊退治という仕事を請け負う代わりに、命を取り戻している状態。優れた身体能力に加え、悪霊を感知したり、けがを治癒したりする特殊能力を持つ。
カウンターたちが追う悪霊は、邪悪な心を持った魂。強い殺意を抱く人間に寄生し、彼らの殺意をあおり、人を殺させ、その魂を食べて増強し、現世にとどまり続ける。
「鬼滅の刃」を想起させるドラマだ。心の弱さから悪霊につけ込まれたり、鬼になってしまったりする人間と、強い正義感と使命感から悪を追うヒーロー像がオーバーラップする。「悪霊~」も「鬼滅」も、人間の業の深さを描いている。
シーズン1はスカッとする勧善懲悪劇。続編を、の声も多かった
シーズン1は、新たにカウンターに加わる主人公、ソ・ムン(チョ・ビョンギュ)が、カ・モタク(ユ・ジュンサン)、ト・ハナ(キム・セジョン)、チュ・メオク(ヨム・ヘラン)ら先輩カウンターズに迎え入れられるところから始まる。それぞれがカウンターになった経緯を丹念に描き、切ない人間ドラマを見せつつ、激しいアクションで悪を駆逐するスカッとする勧善懲悪劇が展開した。
製作は「愛の不時着」や「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」を手がけたスタジオ・ドラゴン。飛ぶ鳥を落とす勢いでヒット作を生み出していた同社に、2020年末にメール取材をしたことがある。「来年のイチオシは?」と尋ねたところ、「悪霊狩猟団:カウンターズ」との答えが返ってきた。現地メディアによると、シーズン1最終回の最高視聴率は11.9%。続編を期待する声が高かった。
シーズン2はユ・インス、キム・ヒアラがキャストに加わり更にパワーアップ
ソ・ムンが名実ともにエースに成長したシーズン2。強くなったカウンターたちに対し、さらにレベルアップした悪霊が挑む。
シーズン2の冒頭、舞台は中国に移る。中国にもカウンターたちがいて、彼らは悪霊が出没した豪邸に向かう。いずれソ・ムンらと合流するのか?と思いきや、いきなりラスボス感のある悪霊グループによって中国勢が全滅する。中国の悪霊は、カウンターの特殊能力を取り込み、AI学習機能のごとく能力を吸収してしまうのだ。
中国の悪霊役の一人として、キム・ヒアラがキャストに加わった。「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」で薬物中毒のイ・サラ役を演じた俳優と言えば、ご存じの方も多いのではないか。校内暴力の加害グループの中でも突出して逸脱した人物を怪演し、一躍有名になった。今回は悪霊という、これまた逸脱したキャラクターを彼女がどう演じるのか。早くも目が離せない。
狩猟団側にはユ・インスが登場する。「良くも、悪くも、だって母親」の主人公の幼なじみで、純粋ゆえにトラブルを起こしてしまうサムシク役が記憶に新しい。
本作では、自分を冷たくあしらったお見合い相手を交通事故から守ろうとしたところ、車にはねられて意識不明になる。自己犠牲精神が評価され、カウンターにスカウトされる。不器用でドジながらも一生懸命。サムシク超えのピュアなとぼけ役が、視聴者を優しい気持ちにさせるのではないか。
Netflixシリーズ「悪霊狩猟団:カウンターズ」シーズン1~2独占配信中