「財閥x刑事」より © 2024 SBS & Studio S. All rights reserved.

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2024.4.08

「梨泰院クラス」で知られるアン・ボヒョンの痛快主演ドラマ「財閥 x 刑事」:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、村山章、大野友嘉子、梅山富美子の4人です。

梅山富美子

梅山富美子

日本でもヒットした「梨泰院クラス」の悪役などで知られるアン・ボヒョンが、韓国の地上波で初のドラマ主演を務めたドラマ「財閥 x 刑事」がディズニープラスで配信中だ。ひょんなことから警察官となる御曹司の活躍を描いた痛快な作品となっている。


キャリアアップし続けるアン・ボヒョンの韓国地上波ドラマの初主演作

 財閥ハンスグループの次男チン・イス(アン・ボヒョン)が、見知らぬ男と取っ組み合いの末、刑事ガンヒョン(パク・ジヒョン)に逮捕されることから始まる。イスを誤認逮捕してしまった警察と、ソウル市長選に出馬してネガティブな報道は避けたいイスの父親(チャン・ヒョンソン)の利害が一致。イスの兄スンジュ(クァク・シアン)の提案により、選挙が終わるまでの期間、イスは警察で働くことになる。
 
屈託のない性格だがお金持ちがゆえに言動が鼻につくイスに対して、ガンヒョンたちは反発。御曹司には地道に捜査を行う警察の仕事はできない、と冷たくあしらわれるも、イスは持ち前の明るさと天性の才能で事件を解決に導いていく。
 
イス役のアン・ボヒョンは、韓国で大ヒットした「太陽の末裔 Love Under The Sun」(2016年)の主人公の部下役で注目を浴び、「梨泰院クラス」(20年)で悪役のチャン・グンウォン役で日本でも知名度をあげた。その後は「ユミの細胞たち」(21年)、「生まれ変わってもよろしく」(23年)ではラブストーリーで主人公の相手役、「マイネーム:偽りと復讐」(21年)ではシリアスなサスペンス、「軍検事ドーベルマン」(22年)ではケーブルチャンネルのドラマ単独初主演を務めるなど着実にキャリアアップし続けている。
 
作品ごとに新しい顔を見せてきたアン・ボヒョンが「財閥 x 刑事」で演じたのは、お金と時間を持て余して派手な日常をSNSで見せてきた御曹司のイス。オープンカーで警察に初出勤し、警察署にシェフを呼び高級料理を振る舞い、所長に始末書の書き方を教わり、勤務中にゲームをするなどやりたい放題だが、憎めないキャラクターのイスを演じた。
 
イスの魅力は笑顔だけではない。ガンヒョンらに注意されたことは正しいと思えば受け入れる素直さもあり、異端なイスが、悪いヤツらを捕まえ、事件を解決するごとにチームに認められていく展開は王道ながら痛快だ。また、父親からは迷惑ばかりかけてきた存在と揶揄(やゆ)され、義母からは存在を否定され続け、兄だけが頼りだったイスが、警察でやりがいと居場所を見つけ出していく姿は胸に込み上げるものがある。
 

シーズン2の制作も決定。パワーアップを期待

 本作は、イスが弁護士資格を持つという設定からも、破天荒な推理で事件を一気に解決する物語ではないのが肝(資格をとった理由が「暇だったから」もまた御曹司ならでは)。時には型破りな方法ながらも、一歩ずつ捜査を進めるため「犯人は一体誰なのか?」とミステリー要素でも引き込まれていく。
 
ちなみに、本作のタイトルにもある財閥は、韓国ドラマによく登場する。お金や権力で翻弄(ほんろう)される人々の物語が数々描かれてきたが、本作も例に漏れず。イスの実の母親の死から、現在にもつながる愛憎渦巻く事件が引き起こる。14話から最終話(全16話)は、そこまでイスを追い詰めなくても……と苦しい展開が続く。
 
韓国で最高視聴率10%を超えるヒットを記録し、シーズン2が制作されることが決定している。一件落着とは言い難いが、イスの家族の問題も一つの区切りを迎えたため、イスが思う存分に刑事として活躍する姿をまた見ることができるのは視聴者としてうれしい限り。思わずニヤリとしてしまうカンハ警察署強力第1チーム(アン・ボヒョン、パク・ジヒョン、カン・サンジュン、キム・シンビ)のやり取りが、パワーアップしてまた見られることを期待したい。
 
「財閥x刑事」はディズニープラスのスターで独占配信中

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ライター
梅山富美子

梅山富美子

うめやま・ふみこ ライター。1992年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映像制作会社(プロダクション・マネージャー)を経験。映画情報サイト「シネマトゥデイ」元編集部。映画、海外ドラマ、洋楽(特に80年代)をこよなく愛し、韓ドラは2020年以降どハマり。