「ウエディング・インポッシブル」より © STUDIO DRAGON CORPORATION

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2024.4.12

ネクストブレーク必至! ムン・サンミンが新境地を開拓したラブコメディー「ウエディング・インポッシブル」:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、村山章、大野友嘉子、梅山富美子の4人です。

梅山富美子

梅山富美子

ネクストブレーク必至の韓国俳優ムン・サンミンがラブコメディーに挑戦したドラマ「ウエディング・インポッシブル」(全12話)がU-NEXTで配信中だ。演じたのは、兄の結婚を阻止しようとしたら、その結婚相手にほれてしまうという役どころだ。
 


同名のウェブ小説が原作

本作は、韓国のウェブ小説が原作。無名の俳優アジョン(チョン・ジョンソ)は、長年の親友ドハン(キム・ドワン)から偽装結婚を持ちかけられる。実は、ドハンは財閥LJグループの会長の孫で、後継に指名され政略結婚しろと会長に迫られていた。
 
これまで端役ばかりを演じてきて、〝会長の孫の妻役〟という一世一代の演技のオファーにひかれたアジョンと、後継者の座に興味がなく自身の性的指向から政略結婚もアジョンとの結婚も本来ならするつもりがないドハン。利害関係が一致した2人は、偽装結婚へと突き進むが、ドハンの弟ジハン(ムン・サンミン)だけは結婚に猛反対する。
 
兄に後継者になってもらいたいジハンは、自分の思い描く未来にならないことに焦り、アジョンに別れるようにと説得するが行動は空回りして彼女と対立するばかり。そうしてアジョンと関わっていくうちに、仕事に一生懸命でこびることのない彼女にひかれていく。恋であると自覚できずにいるジハンは、しまいにはアジョンをほれさせるという突拍子もない作戦に出る。
 
ラブコメディーとしてシリアスになりすぎず、アジョンとジハンの大人げない応酬やお互いに酔っ払うシーンなど、ところどころにある振り切ったコメディーパートが笑いを誘う。また、イケメンだと自覚しているジハンのセリフも、端正な顔立ちのムン・サンミンだからこそ成り立つ。
 

ムン・サンミンは今後も多くのドラマや映画で活躍しそうで楽しみだ

ジハン役のムン・サンミンは、2000年生まれ(!)の23歳(4月14日で24歳)という若さで主人公の相手役に抜てきされた。これまでウェブドラマ「クリスマスが嫌いな4つの理由」(19年)、Netflixシリーズ「マイネーム:偽りと復讐」(21年)といったドラマに出演し、キム・ヘス主演の宮廷時代劇「シュルプ」(22年)のソンナム大君役で、一躍知名度を上げた。
 
「ウエディング・インポッシブル」でもムン・サンミンの新たな魅力が引き出されており、今後も次世代を担う俳優の一人として多くのドラマや映画で活躍しそうな予感が漂う。これからどんな俳優になっていくのか将来が楽しみな俳優だ。
 
また、会長役のクォン・ヘヒョは「冬のソナタ」でペ・ヨンジュン演じる主人公の上司役で知られ、「シュルプ」ではムン・サンミンと共演したことも。24年はすでに「財閥 x 刑事」「寄生獣 -ザ・グレイ-」と同時期に放送・配信となったドラマに出演と、名バイプレーヤーとしての人気ぶりに驚かされる。3作品とも重要な役どころで登場するため若干混乱しないこともないが、物語を引き締める存在としての演技が光る。
 
俳優陣が演技で魅了した作品だったが、アジョンとジハン、ドハンの奇妙な関係を描くストーリーが回りくどくひねりすぎだったことは否めない。アジョンの俳優としての夢、ドハンが家族に言っていない秘密、会長に煙たがられていると思っているジハン、それぞれの問題が深く追求しきれず、結末、そしてそれまでの過程はそれでよかったのかと若干の疑問も。全12話では個々を深掘りしきれなかったのかもしれない。
 
なお、本作は豪華なカメオ出演が話題に。チョン・ギョンホ(「賢い医師生活」「イルタ・スキャンダル 〜恋は特訓コースで」)、キム・ボム(「花より男子〜Boys Over Flowers」「九尾狐伝」)、リュ・ギョンス(「梨泰院クラス」)、イ・スヒョク(「明日」)と主役級がずらり。そして、チョン・ジョンソと〝公開恋愛中(恋愛を公表している芸能人のこと)〟で映画監督として知られるイ・チュンヒョンも、監督役で登場した。
 
「ウエディング・インポッシブル」はU-NEXTで独占配信中

ライター
梅山富美子

梅山富美子

うめやま・ふみこ ライター。1992年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映像制作会社(プロダクション・マネージャー)を経験。映画情報サイト「シネマトゥデイ」元編集部。映画、海外ドラマ、洋楽(特に80年代)をこよなく愛し、韓ドラは2020年以降どハマり。