「FALL/フォール」© 2022 FALL MOVIE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

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2023.2.03

特選掘り出し!:「FALL/フォール」 荒野の鉄塔、スリル極限

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)。

観客をハラハラドキドキさせるサスペンス、アクション映画では、断崖絶壁などの「高所」は見せ場を演出するのに絶好のロケーションとなる。その効果を全編に引き延ばし、あの手この手で最大限のスリルを追求したのが本作だ。

登山中の事故で夫を亡くし、悲しみに暮れるベッキー(グレイス・フルトン)が、親友ハンター(バージニア・ガードナー)から新たな冒険に誘われる。それは荒野にうち捨てられた地上600㍍の高さのテレビ塔に登ること。しかし頂上部分への到達直後、老朽化したハシゴが崩壊し……。

極端に細く、天に向かってそびえ立つ鉄塔の外観からして、嫌な予感しかこみ上げてこないこの映画。案の定、携帯の電波も届かない頂上で孤立した若い女子2人の壮絶なサバイバル劇が展開する。

ドローンによる救助要請の試み、飢えた野鳥の襲撃など、見る者に緊張を強いる場面を矢継ぎ早に映像化。女性同士の友情と確執のドラマを交え、トラウマの克服というこのジャンルの王道テーマも盛り込んだ。そして塔の下に広がる光景のとてつもない絶望感たるや、高所恐怖症の人にはお薦めできません。スコット・マン監督。1時間46分。東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7ほか。(諭)