「偶然かな。」より

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2024.8.19

ドラマ「Eye Love You」でブレーク! チェ・ジョンヒョプ主演のロマコメ「偶然かな。」:オンラインの森

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梅山富美子

梅山富美子

TBSの火曜ドラマ「Eye Love You」(2024年1月期)に出演して話題となった韓国の俳優チェ・ジョンヒョプの新作「偶然かな。」(全8話)が、ディズニープラスで配信中だ。ロマンチックコメディーとなる本作では、初恋の相手と偶然にも再会する青年を演じている。
 


10年ぶりの偶然の再会を重ね、ひかれあう同級生の2人

本作は、人気ウェブトゥーンが原作。高校時代に韓国からアメリカに移住したカン・フヨン(チェ・ジョンヒョプ)は、出張のため韓国に10年ぶりに帰国し、高校の同級生であるイ・ホンジュ(キム・ソヒョン)と再会する。何度も〝偶然〟を重ねていく2人は、次第にお互いにかけがえのない存在だと気づいていく……。
 
優秀で賢く、アメリカで成功しているクールなフヨン。一方、勉強は苦手だけれど、自分の好きなことにはいちずで天真爛漫(らんまん)なホンジュ。一見、交わることがなさそうな2人だが、時折挟まれる回想シーンによって高校時代の出会い、そして2人になにが起こったのか、不器用で甘酸っぱい青春の日々が徐々に明らかになっていく。
 
高校生のフヨンの思いは成就しなかったが、大人になった彼は積極的にホンジュにアプローチ。同じ建物で生活、会社は隣同士……とさまざまな〝偶然〟により2人の距離が近づいていく。しかし、ホンジュの親友であり、フヨンが初恋の相手であるキム・ヘジ(キム・ダソム)や、ホンジュの元カレであるパン・ジュノ(ユン・ジオン)によって、2人の思いはすれ違い、ヤキモキさせられる。

 

チェ・ジョンヒョプが「Eye Love You」に続き、いちずな役どころで魅了する

フヨン役のチェ・ジョンヒョプは、「わかっていても」(21年)、「無人島のディーバ」(23年)など、揺るぎないいちずな役がよく似合う。派手なドラマ展開がなくても、誠実さや深い内面を持つ役柄を自然に表現できるし、その演技が心に残る。だからこそ、「Eye Love You」の年下のピュアな青年役で多くの日本の視聴者を魅了したのかもしれない。
 
「偶然かな。」でも、周囲をあきれさせるほどフヨンがホンジュしか見ていない点が魅力的だ。好きな子に意地悪してしまう子どものように、ヒロインのホンジュに子どもじみた態度を取ってしまうけれど、その裏に隠しきれない優しさが見え隠れして、憎むことができない。
 
相手役のキム・ソヒョンは、「太陽を抱く月」(12年)、「屋根部屋のプリンス」(12年)など数多くの作品で幼いころから俳優として活躍。「恋するジェネレーション」(15年)、「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」(16年)、「ノクドゥ伝~花に降る月明り~」(19年)、「恋するアプリ Love Alarm」(19年、21年)と着実にキャリアを積んでおり、スターへの道を確実に進んでいる。
 
ちなみに、同級生を演じた2人だが、チェ・ジョンヒョプは1993年生まれ、キム・ソヒョンは99年生まれと実年齢は6歳も差がある。あまり違和感がなかったのはチェ・ジョンヒョプから醸し出される純粋さと、キム・ソヒョンの大人びた雰囲気があったからかもしれない。
 
終始2人のやわらかい空気に包まれた作品だったが、2人の前に立ちはだかる最大の壁はやはり韓ドラらしく母親。フヨンの歩む道を決めてしまう母親を演じたのは上半期大ヒットした「涙の女王」で人情味あふれるボムジャを演じたキム・ジョンナン。どちらもお金持ちの役だが、見た目から話し方まですべて異なり、表現のギャップに驚かされた。
 
ほかにも、ヘジとホンジュの友人であるサンピル役のイ・ウォンジョン、ヘジの同僚で彼女に思いを寄せるソン先生役のファン・ソンビンがブレークの予感。絶妙な抜け感の演技が光ったイ・ウォンジョンは「ヒエラルキー」の先生と不適切な関係を持つ生徒役、堅物すぎてヘジに思いを伝えられない愛すべきソン先生役のファン・ソンビンは「正直にお伝えします!?」で主人公の弟役で、それぞれ存在感を放っていたのが記憶に新しい。今後ドラマや映画での活躍が期待される。
 
「偶然かな。」はディズニープラスのスターで独占配信中

ライター
梅山富美子

梅山富美子

うめやま・ふみこ ライター。1992年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映像制作会社(プロダクション・マネージャー)を経験。映画情報サイト「シネマトゥデイ」元編集部。映画、海外ドラマ、洋楽(特に80年代)をこよなく愛し、韓ドラは2020年以降どハマり。

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