ガンパウダー・ミルクシェイク  ©2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.

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2022.3.17

特選掘り出し!:ガンパウダー・ミルクシェイク 悪党なぎ倒す熱い連帯

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

銃撃や格闘技、何でもござれの女殺し屋が、男だらけの悪党どもをなぎ倒していく。無国籍的でカラフルな世界観、バイオレンスとユーモア満載の作風からして、いかにも映画オタクの監督(イスラエル出身のナボット・パプシャド)が撮ったと思わせる娯楽活劇だ。

15年前に失踪した母の後を継ぐようにして、ファームと呼ばれる暗殺組織の殺し屋になったサム(カレン・ギラン)。ある任務中の成り行きで巨大ギャングを敵に回してしまった彼女は、父を亡くした8歳の少女を守りながら壮絶な闘いに身を投じていく。

ボウリング場、病院、ダイナーを舞台にしたアクションは、変化に富んだ状況設定と振り付けでぐいぐい見せる。なぜか図書館が武器レンタル所になっていて、ジェーン・オースティンやヴァージニア・ウルフの大型本に銃が収納されているという描写に、あきれるやらニヤリとさせられるやら。

そして後半は、主人公に助太刀するスゴ腕の女性図書館員3人(ミシェル・ヨーほか)も大暴れ。古風な殺し屋映画の筋立てを、熱い血の通ったシスターフッド(女たちの連帯)ものに転化させた一作である。1時間54分。東京・TOHOシネマズ日本橋、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(諭)

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