ブラックバード 家族が家族であるうちに © 2019 BLACK BIRD PRODUCTIONS, INC ALL RIGHTS RESERVED

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2021.6.10

ブラックバード 家族が家族であるうちに

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ある週末、医師のポール(サム・ニール)と妻リリー(スーザン・サランドン)が住む邸宅に、長女ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)とその家族、次女アナ(ミア・ワシコウスカ)、リリーの親友リズら親しい人が集まる。リリーは病が進行して安楽死を決意、家族らと最後の時を過ごそうとしていた。

安楽死の是非というより、死の期限が決められた時の周囲の戸惑いと葛藤をすくい上げた作品。娘の抑えきれない感情や疑心が発露するさまも、家族ならではのぬくもりに満ちている。リリーの意志の強さ、気丈な姿があるからこそ成り立つ物語で、サランドンは面目躍如の風格。多少の行き違いはあっても、映し出されるのは、幸せな家族の風景である。それを補うように、キッチンも居間のインテリアも絵に描いたように心地よく、庭からの眺めや海辺の景色も美しい。ちょっとできすぎの設定だが、中身が重いから、いいのかも。ロジャー・ミッシェル監督。1時間37分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(鈴)

ここに注目

リリーもポールも、決意が揺らがないのが驚き。公開中の映画「いのちの停車場」では、吉永小百合演じる医師が、重病の父親の安楽死を巡って激しく葛藤した。元になったデンマークの「サイレント・ハート」は2014年の作品という。命を取り巻く環境の激変を感じさせる。(勝)

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