「埋もれた心」より

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2025.3.10

<4話まで>パク・ヒョンシク主演、メロドラマ要素ありのリベンジサスペンス「埋もれた心」

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、大野友嘉子、梅山富美子の3人に加え、各ジャンルの精鋭たちが不定期で寄稿します。

筆者:

大野友嘉子

大野友嘉子

パク・ヒョンシク主演の復讐(ふくしゅう)劇「埋もれた心」がディズニープラスで配信されている。財閥に重宝された男が裏切られ、巨額な財産をかけて報復を誓う。〝あのヒット作〟を思わせる物語だと話題だが、趣向はだいぶ異なる。骨太の作品というよりはメロドラマとして楽しみたい。


失脚した男が復讐を企てる

パク・ヒョンシクが演じるソ・ドンジュは財閥グループ「大山」のチャ会長(ウ・ヒョン)に仕える常務。機転が利くためチャ会長からの信頼が厚いが、それ故に他の財閥家メンバーからは疎まれ、ついには命まで狙われる。一命を取り留めたものの失脚したドンジュは、〝お決まりの〟記憶喪失を経て、自分をおとしめた敵へ復讐を企てるのだった。

財閥に忠誠を尽くした主人公が憂き目に遭い、マネーゲームの復讐に乗り出すという筋書きは、「財閥家の末息子」を想起させるものがある。だが、作風は正反対と言えるのではないか。

「財閥家~」が疾走感にあふれる洗練された雰囲気だったのに対して、こちらは、終始〝昼メロ調〟全開。ストレートな感情表現、キザな演出(パク・ヒョンシクはタキシードを着てクルーザーでバイオリンを弾く)、意外性ゼロの裏切りのオンパレードで、「財閥家~」のような、こちらの意表を突くような高度な頭脳戦や抑制的でスマートな愛憎劇を期待すると、ガッカリするだろう。

一方、こうしたベタな演出に加え、財閥、復讐、記憶喪失、身分の違いを超えた純愛などの定番が詰まっており(出生の秘密もそのうち出てくる気がしてならない)、昔懐かしの韓ドラを楽しみたい人にはオススメだ。韓国では第3話の瞬間視聴率が11.2%を記録し、話題を呼んでいる。


パク・ヒョンシクとホ・ジュノ、2人の対決に注目したい

見どころは、パク・ヒョンシクと政財界を牛耳るヨム・ジャンソンを演じるホ・ジュノの対決とされる。昨年配信の「ドクタースランプ」でコミカルな医師を好演したパク・ヒョンシクが、一転して(キザな)ダークヒーローを演じる姿は確かに見物だ。ホ・ジュノの貫禄とのケミストリーも期待したい。

個人的には、ドンジュを大山から追い出したホ・イルド(イ・ヘヨン)が必見だと思う。チャ会長の娘婿ながらドンジュのような寵愛(ちょうあい)を受けず、鬱憤をため込む。そんな心をヨムにつけ込まれ、ヨムに翻弄(ほんろう)される憂き目に遭う。大した才覚もないのに欲深い。このなんとも残念なキャラクターの心情をイ・ヘヨンは目の動き一つで演じている。単純明快なドラマの中で、人間の滑稽(こっけい)さ、哀(かな)しさに胸を詰まらせられる瞬間だ。

「埋もれた心」はディズニープラスで独占配信中。

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