ウエスト・サイド・ストーリー  © 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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2022.2.03

時代の目:ウエスト・サイド・ストーリー 今、分断にあらがう愛を

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)。

映画史上の金字塔たる古典のリメークにはリスクが伴うし、監督は相当な勇気と力量を試される。そんな企画に挑んだのはスティーブン・スピルバーグ。彼にとって初のミュージカルとなる「ウエスト・サイド物語」の再映画化だ。

欧州系移民のジェッツ、プエルトリコ系のシャークスという二つの若者グループが対立する米マンハッタンのウエストサイド。許されない恋に落ちたトニー(アンセル・エルゴート)とマリア(レイチェル・ゼグラー)の運命を、レナード・バーンスタイン作曲、スティーブン・ソンドハイム作詞の名曲の数々にのせて映し出す。

時代設定やストーリーは、オリジナル版をほぼ忠実に踏襲。その半面、移民が直面する差別や貧困などの問題、憎しみの根深さをシビアに描き、分断と不寛容にあらがう〝愛〟という現代の米社会に通じるテーマを強く打ち出した。

核となるラブストーリーの古めかしさは否めないが、傑出した楽曲とダンス、躍動感あるカメラワーク、まばゆい光を駆使したスピルバーグの演出が、混然一体となって生む高揚感は圧巻。伝説的な女優リタ・モレノの出演もうれしい。2時間37分。11日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(諭)