チャートの裏側

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2021.4.01

チャートの裏側:理屈抜き、米娯楽大作の力

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

新型コロナウイルスの感染拡大が続くが、映画館が少なからず影響を受けていることに変わりない。東京都内近郊のシネコンでは、この土日(3月27、28日)の興行収入が前週土日比の約103%だった。春興行に入り新作が増えてはきたが、なかなか一気呵成(かせい)というわけにはいかない。

「モンスターハンター」は最終で20億円を超える可能性がある。日本発のゲームを原作にした米製実写大作だ。ゲームファンの男性客が目立つ。知名度は高く、やはり安定感は抜群と言える。30億円超が3本の同タイプの「バイオハザード」シリーズに、どこまで迫るか。

昨年末以降、全国200スクリーン以上の公開規模をもつ洋画は、本作と公開順に「ワンダーウーマン1984」「ラーヤと龍の王国」「トムとジェリー」の4本ある。劇場公開と配信が同時展開の「ラーヤ」は参考にならないが、徐々に洋画の集客が上がってきた印象をもつ。

「トムジェリ」から「モンハン」という公開の流れに、観客を徹底して楽しませようとする米製娯楽大作の一つの特徴が見える。いわゆる、理屈抜きというものだ。いい意味で思考力が和らぐので、妙な窮屈感がない。コロナ禍では、こうした要素の作品が好まれやすいとも考えられる。まだまだ、洋画の決定打ではないにしても。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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