「Sweet Home -俺と世界の絶望-」シーズン2より © 2023 Netflix, Inc.

「Sweet Home -俺と世界の絶望-」シーズン2より © 2023 Netflix, Inc.

2023.12.14

突然怪物が襲ってきたら、という極限の世界を描いたソン・ガン主演のサバイバルアクション「Sweet Home -俺と世界の絶望-」シーズン2

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梅山富美子

梅山富美子

ある日突然残忍な怪物が襲ってきたら……という極限の世界を描き話題となったNetflixオリジナルシリーズ「Sweet Home -俺と世界の絶望-」(2020・全10話)のその後を描くシーズン2(全8話)が、12月1日から一挙配信されている。同じくNetflixで配信中の「マイデーモン」では俺様な悪魔を演じるソン・ガンが〝怪物〟役でギャップを見せている。

韓国のウェブトゥーン(韓国発祥のWEBマンガ)を基にした本作は、突如現れた怪物によって、生きるか死ぬかの極限状態に置かれた人々を描くサバイバルアクション。シーズン1では、古びたアパート「グリーンホーム」を舞台に、主人公のチャ・ヒョンス(ソン・ガン)ら住民たちが怪物に姿を変え暴走する人間たちに立ち向かっていく物語が展開した。

住人役には、壮絶ないじめへの復讐(ふくしゅう)を描く「ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜」のイ・ドヒョン、「セレブリティ」のパク・ギュヨン、「ムービング」のコ・ユンジョン、「焼肉ドラゴン」のキム・サンホ、「箪笥<たんす>」のキム・ガプスなど豪華キャストが出演した。


シーズン2はグリーンホームを脱出した外の世界が舞台、キャストも続投

シーズン2は、グリーンホーム脱出し外の世界が舞台に。怪物化するも人間の姿で自我を持つヒョンス、兄ウニョク(イ・ドヒョン)を探し続けるウニュ(コ・ミンシ)、夫を探す妊娠中のイギョン(イ・シヨン)、多くの犠牲を払いながらもグリーンホームから脱出した住人、そして新たな登場人物たちによる群像劇となっていく。

なお、シーズン2は、ヒョンス役のソン・ガンのほか、生存者のキャストが続投。新キャストには、「友へ チング」のユ・オソン、「椿の花咲く頃」「サイコだけど大丈夫」のオ・ジョンセ、「未成年裁判」のキム・ムヨル、「雲が描いた月明り」のジニョンなどが名を連ねている。

実力のあるキャストだからこそ、彼らの演技をしっかりと堪能したいところだが、群像劇であるために一人ひとりにスポットライトが当たる時間が短いと感じることも。俳優陣がわずかなシーンで魅力的なキャラクターに見せているからこそ、もっと見たい、もっと深掘りしてほしいと思わずにはいられない。


シーズン3の展開も決定。ちりばめられた謎もシーズン3に向けての布石だ

また、シーズン1は、少しずつ犠牲になる住人たちの恐怖と人間の欲望や生々しい感情が渦巻く模様が鮮明に活写され、バイプレヤーたちの名演により人間ドラマとしての味わい深さもあった。しかし、シーズン2は一転してどこか突き放した空気感。住人たちの深まった絆はなんだったのか?というほどあっさりと命が失われ、外の世界はより厳しく殺伐とした印象を与える。

衝撃的なのは、軍の兵士が怪物を倒そうと銃を乱射して、逃げ惑う人々まで撃ってしまうシーン。映画やドラマで街が戦場となり民間人が犠牲になっただろうと思わせる場面は多々あるが、本作では怪物だけに銃の弾が当たるなどというご都合主義にせず、はっきりと描写する。なかなか強烈なシーンであり、人を救うために人が犠牲になるという強烈な皮肉もいている。

なお、2024年にシーズン3が配信されることはすでに発表済み。そのためシーズン2は、謎の種がかれた状態のため、不完全燃焼は否めない。残された謎は明らかになるのか、次のシーズンで完結するのか気になるところだ。

シーズン2と3は相次いで製作されたようだが、ウニョク役のイ・ドヒョンは8月に兵役入隊、ヒョンス役のソン・ガンも兵役に行くことを発表している。彼らがどのように登場するのか、来年の配信まで待ちたい。

Netflixシリーズ「Sweet Home Season 2」は配信中。

ライター
梅山富美子

梅山富美子

うめやま・ふみこ ライター。1992年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映像制作会社(プロダクション・マネージャー)を経験。映画情報サイト「シネマトゥデイ」元編集部。映画、海外ドラマ、洋楽(特に80年代)をこよなく愛し、韓ドラは2020年以降どハマり。

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