犬王©2021 “INU-OH” Film Partners

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2022.5.27

犬王

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

室町時代。猿楽の一座に生まれ、ひょうたんの面をかぶって成長した異形の子、犬王。平家の呪いにより盲目となった琵琶法師の少年・友魚(ともな)。2人が生み出す歌と舞が民衆を熱狂させていく。

原作は古川日出男の「平家物語 犬王の巻」。「夜は短し歩けよ乙女」の湯浅政明監督が、キャラクター原案・松本大洋、脚本・野木亜紀子、音楽・大友良英というぜいたくな布陣で長編アニメーション化した。バンド「女王蜂」のボーカル、アヴちゃんと森山未來のパフォーマンスが高揚感をあおり、ジャンルを特定できないダンスで魅了する。

変容する身体を自由自在なカメラワークで追いかける場面や、ライブの盛り上がりで手拍子と足踏みを誘う場面では、アニメーションだからこそ可能な表現が存分に。歌詞の意味を咀嚼(そしゃく)するには、1回の鑑賞では足りないかもしれない。時代を超えて生命力あふれる音と映像に身を委ねる幸せを味わえる、アニメーションによるロックフェスともいえる一本。1時間38分。28日から、東京・新宿バルト9、大阪・梅田ブルク7ほか。(細)

異論あり

空間も時間も自由自在に伸縮させる湯浅監督。ライブ場面を伸びやかで派手な映像に乗せてたっぷりと見せた。その一方で、敗者の声を語り継ぐというテーマは重く、犬王と友魚のドラマ部分は陰影が濃い。突き抜けたカタルシスは期待せぬように。(勝)

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