ひとしねま

2022.6.24

データで読解:待望の洋画大作が加勢

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2022年も折り返し地点を迎え、社会・経済活動が平常化に向かう中で映画興行も活況である。一般消費者に向けた定点調査結果を見ても、劇場鑑賞意向の高さは春以降、「コロナ前」の19年のレベルに到達している。

日本の映画興行の復興レベルは世界と比べても高い。英調査会社GowerStreetAnalytics社のリポートによれば、コロナ前の3年間平均総興収と比べて、世界全体では39%減に対して、日本は14%減まで戻った。背景には他国よりも早く営業が再開され、感染予防対策や安心感の醸成に成功する中、早々に自国映画・アニメのジャンルからヒット作が生まれたことがある。残すは米ハリウッド大作の安定供給開始だったが、以前に近いペースとなっていた。

1位に返り咲いた「トップガン マーヴェリック」は待望の洋画大作メガヒット。現在56億円を超え、週末2日間の興収も5.9億円と勢いを維持している。

今後もコロナ前並みの展開と仮定すると、年間総興収は2000億円程度と計算され、近年では「アナと雪の女王」が大ヒットした14年と同程度。夏以降の公開ラインアップを見ても、見通しは明るい。多様なジャンルからのヒットが生まれる土壌が市場の底力となり、復興の勢いのドライバーになっている。(GEM Partners代表・梅津文)