「i ai」Q&Aに登壇した、マヒトゥ・ザ・ピーポー(右)と森山未來=山田あゆみ撮影

「i ai」Q&Aに登壇した、マヒトゥ・ザ・ピーポー(右)と森山未來=山田あゆみ撮影

2022.11.06

「i ai」マヒトゥ・ザ・ピーポー初監督 森山未來と「作れてよかった」

第35回東京国際映画祭が始まります。過去2年、コロナ禍での縮小開催でしたが、今年は通常開催に近づきレッドカーペットも復活。日本初上陸の作品を中心とした新作、話題作がてんこ盛り。ひとシネマ取材陣が、見どころとその熱気をお伝えします。

山田あゆみ

山田あゆみ

第35回東京国際映画祭アジアの未来部門で11月1日、「i ai」が上映され、マヒトゥ・ザ・ピーポー監督と出演した森山未來によるQ&Aが行われた。
 
ロックバンド「GEZAN」での音楽活動のほか小説執筆、俳優など幅広い活躍をみせるマヒトゥにとって「i ai」は、初めての脚本・監督作品である。「映画が観客に届いたことで完成した」と喜びを語った。マヒトゥは有楽町周辺を毎日のように訪れて、映画祭の空気を満喫していたという。「終わってしまうのが寂しい。北極の映画祭とかないかな」と日本のみならず世界を視野に、広く作品を届けたいという熱意をにじませた。
 

「i ai」©2022「i ai」製作委員会

マヒトゥ「人の匂いがする場面に」

主演の富田健太郎は、約3500人の中からオーディションで選ばれた。富田を選んだ理由をマヒトゥは「新たな挑戦の仲間を見つけたかった。まだ自分に悩んでいて、〝なんでもなさ〟がある。飛び立つ過程にあるところが、映画の内容に重なる。富田以外はなかった」と説明
 
富田が言葉を畳み掛けるインパクトの大きなシーンがある。マヒトゥは「ギミックに頼らず、人の匂いがすること」にこだわったという。「映画を見終わると日常に戻って、大切な人と過ごす。だが、いずれは別れという逃れられない宿命が待っている」という言葉からは、映画が観客の人生に余韻を残せたら、という願いが感じられた。
 
 

森山「出会い続けろ」に人生重ね

森山は脚本を読んだときに、神戸のイメージが湧き「神戸で撮影しないなら、やりたくない」と強く押したとか。その要望もあり決定したロケ地の神戸は、森山の出身地でもある。
 
Q&Aで「ダンスや雰囲気が役柄にマッチしていた」と役との共通点を聞かれた森山は、この映画のテーマである「出会い」に言及。作中の「別れなんてない、出会い続けろ」というセリフが、自分の生きる上での指針に重なったという。「出会いを大切に生きていることや、神戸が地元であったことも、役にマッチして見えたことに影響したのかもしれない」と答えた。
 


マヒトゥは撮影後に森山から「興行など関係なく、この映画に出られてよかった」と言われたという。「監督は権力のある立場だと思う」とし、森山が作品に納得してくれたことで「本当に作れてよかった」と感慨深げだった。

ライター
山田あゆみ

山田あゆみ

やまだ・あゆみ 1988年長崎県出身。2011年関西大政策創造学部卒業。18年からサンドシアター代表として、東京都中野区を拠点に映画と食をテーマにした映画イベントを開催。「カランコエの花」「フランシス・ハ」などを上映。映画サイトCinemarcheにてコラム「山田あゆみのあしたも映画日和」連載。好きな映画ジャンルはヒューマンドラマやラブロマンス映画。映画を見る楽しみや感動をたくさんの人と共有すべく、SNS等で精力的に情報発信中。

カメラマン
ひとしねま

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