「ソンジェ背負って走れ」より  © CJ ENM Studios Co., Ltd.

「ソンジェ背負って走れ」より  © CJ ENM Studios Co., Ltd.

2024.6.05

ブレーク中のピョン・ウソクが多才さで視聴者を魅了するラブストーリー「ソンジェ背負って走れ」:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、村山章、大野友嘉子、梅山富美子の4人です。

梅山富美子

梅山富美子

タイムリープで愛する人を救う韓国ドラマ「ソンジェ背負って走れ」(全16話、U-NEXTで独占配信中)が、韓ドラ界に新しい風を吹かせている。韓国のウェブ小説が原作の本作は、急逝したバンドマンのソンジェ(ピョン・ウソク)と、彼のファンであるソル(キム・へユン)を巡るラブストーリーだ(以下、本編の内容に触れています)。
 


なぜか15年前にタイムリープ

事故で下半身不随となり絶望の淵にいたソルは、ラジオで偶然聴いたソンジェの言葉に救われて大ファンになる。時がたち、コンサート終わりのソンジェ本人と偶然遭遇したソルは感極まるが、その日の深夜に彼の訃報という信じられない知らせを聞く。思わず家を飛び出したソルは、ソンジェの時計によってなぜか突如15年前の高校時代にタイムリープ。混乱しつつも、実は同級生だったソンジェの未来を変えようとソルは走り出す。
 
第1話では、ソンジェのために奔走するソルだがその思いは伝わらず……と暗雲垂れこめる展開だが、第2話では本当はソンジェがソルのことを前から好きだったということが判明。さらに、学校一のモテ男であるテソン(ソン・ゴニ)との三角関係も加わり、一気に、笑って泣けるラブコメとしての面白さが爆上がりする。
 
ソルが自身の意志とは関係なく未来と過去を行き来することになるなか、〝推し〟とファンの関係ではなく、2人が深い縁でつながっていることが明らかになっていく。お互い好き同士なのに、ソンジェは告白のタイミングの運が悪く、ソルはソンジェの未来のために距離を置こうとする。近づいては離れてを繰り返すも、運命に導かれるように何度も人生が交差する2人が甘酸っぱく切なく描かれる。
 
高校時代は有力な水泳選手で、その後はバンドのボーカルで俳優として人気者となるソンジェだが、ソルのことになると不器用で人間味あふれる一面をさらしまくるギャップは、ソルでなくても沼ってしまうキャラクターだ。高校時代からずっとソルを思い、ささいなことでもテソンと張り合ったり、酔っ払って彼女の名前を呼んだりと、いとおしくて笑える人物をピョン・ウソクがつくり上げた。
 
さらに、ソルの親友ヒョンジュ(ソ・ヘウォン)、兄のグム(ソン・ジホ)、ソンジェの親友でバンド仲間インヒョク(イ・スンヒョプ)と各キャラクターがいい味を出しており、ソンジェの父親役のキム・ウォンヘは、これでもかと体を張ってコメディーパートをけん引していた。また、ソンジェの恋敵となるテソンは、タイムリープしたソルにいち早く気づく〝いい男〟っぷりで、ソルはテソンのことをもう少し気にかけてもいいのでは、と思うほど魅惑の〝当て馬〟だった。
 
ソル役のキム・へユンは、相手役の魅力を引き出す俳優であり、青春ドラマで実力を遺憾無く発揮。2019年の「偶然見つけたハル」では、いまではドラマで主演を張るようになったロウンとイ・ジェウクが〝見つかった〟作品でもあった。「ソンジェを背負って走れ」では、ソンジェ役のピョン・ウソクが韓国で本格的なブレークとなったが、キム・へユンの功績がかなり大きいと言える。
 

韓国でのすさまじい熱狂ぶり

バンドのボーカル役で実際に美声も披露するなどその多才ぶりを見せつけたピョン・ウソクは、「青春の記録」「20世紀のキミ」「力の強い女 カン・ナムスン」と話題作に出演してこれまでも知名度はあったが、ソンジェ役で韓国国内外で熱視線が注がれている。
 
Instagramのフォロワーは昨年12月の約400万人から887万人を超え(5月30日時点)、約半年間で2倍以上となる勢いで、ファンコミュニティーサイトWeverseは開設から2週間で50万人超えの人気ぶりだ。
 
キム・へユンは現在27歳、ピョン・ウソクは32歳と実年齢とは離れた高校生役に挑んでいたが違和感はなく、制服姿はより2人のさわやかさが目立ったように感じる。キム・へユンはこびないまっすぐな役がよく似合うし、ピョン・ウソクはスマートな見た目に反して不器用な役が大当たり。2人の底知れない相性の良さは、多くの視聴者を沼落ちさせた大きな要因だろう。
 
特に韓国国内の視聴者の熱狂ぶりはすさまじく、韓国で行われた最終回の観覧イベントは、サイトのサーバーがダウンしてしまうほど。最終回の視聴率は5%台と決して高いわけではないが、動画配信サービスで多くの視聴者を獲得し、SNSを中心に話題が尽きない作品となった。
 
「ソンジェ背負って走れ」はU-NEXTで独占配信中

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ライター
梅山富美子

梅山富美子

うめやま・ふみこ ライター。1992年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業後、映像制作会社(プロダクション・マネージャー)を経験。映画情報サイト「シネマトゥデイ」元編集部。映画、海外ドラマ、洋楽(特に80年代)をこよなく愛し、韓ドラは2020年以降どハマり。