「イカゲーム2」より

「イカゲーム2」より© 2024 Netflix, Inc.

2025.2.04

<ネタバレあり>「イカゲーム3」はこうなる⁈ 関係者の証言から結末をイチ早く予想!

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2024年12月26日に配信が始まった「イカゲーム」シーズン2。22年のエミー賞で非英語圏作品として初めて主要部門6冠を記録し、世界中が待望したシーズン2だけに一気に話題沸騰。日本でも年末年始に見た方も多いことだろうし、全面的にポジティブな反響が多かった前シーズンと異なり賛否が分かれていることも話題になっている。


Netflix作品でも突出した視聴数

まずは、この作品をご存じない方に、どれだけの人気があるかをお伝えしたい。シーズン2配信開始から1カ月超となる1月29日時点で、Netflix週間TOP10は、日本で5週連続TOP10入り、グローバルTOP10(非英語シリーズ作品)5週連続1位、歴代シリーズ(非英語作品)2位を記録。

視聴時間は12億4450万時間、のべビュー数(総視聴時間を作品の時間である7時間10分で割ったもの)は1億7370万。ちなみにシーズン1は、配信91日後の集計で、Netflix歴代非英語シリーズで1位を現在もキープし(シーズン2はすでに2位)、総視聴時間は22億0520万時間、のべビュー数(視聴時間を8時間19分で割ったもの)2億6520万。

この結果は、Netflixの非英語作品として桁違いで、歴代非英語シリーズランキングの第3位「ペーパー・ハウス」シーズン2(パート4)の総視聴時間7億1020万時間と比べても明らかだ。

シーズン1のラストから始まるシーズン2。登場人物相関はもちろん、ストーリーを追ううえでも、シーズン1を視聴済みでないとシーズン2は楽しめない。そのうえシーズン2も、最終話まで見た人の多くは「え、ここで終わり!?」となる中途半端な終わり方をしている。

多くの連続シリーズが、前シーズンを見ていなくてもちょっとは分かるような(そして、新たな視聴につなげるための)工夫がされるものだし、前シーズンで獲得したファンを納得させる脚本をテンポよく見せるのがセオリー。これはどういうことなのか。作品クリエーターのファン・ドンヒョクと主人公ギフンを演じたイ・ジョンジェがシーズン2配信前に行った記者会見から読み解き、来るシーズン3への妄想予測をしてみたい。

会見でファン・ドンヒョクが語っていたのは、そもそもこの作品ができたきっかけから。「シーズン1は韓国の金融危機で自分が経験したことが着想元となっている。シーズン1が配信されたのはパンデミック中だったが、それから世の中がよくなっているかというとそうではない。経済格差は開くばかりだし、暗号通貨などハイリスクな投資への関心の高さから、労働を通じて裕福になろうという考えすら薄らいでいる。シーズン2はパンデミックを経て世界中で起きている問題が、ストーリーに影響を与えている。また、左派と右派の政治的分断に注目している。~中略~ 互いに敵対する世界に未来があるのか? そんな社会には生きたくないと思いながらシーズン2を作った。シーズン2では各ゲームラウンドの後に投票を行い続行の意思を問うが、それによって私たちには希望があるのかという問題に焦点を当てた」


「イカゲーム2」より

「2」ではゲーム以外の要素も描かれスピード感に賛否が

シーズン2は前シーズンよりも展開が遅い。これがネガティブなリアクションでよく聞かれることだ。シーズン1では、1エピソードに一つのゲームが披露され、あっという間に参加者が激減。このスピード感と次に何が起きるかわからないスリルで一気にファンを増やした。

だが、シーズン2はゲームに入るまでに全7エピソード中二つを費やしているうえに、仮面をつけたピンクガードの裏話やファン刑事らによるゲーム開催地の捜索など、ゲーム以外の要素も描かれており、前と比べると展開が遅く感じるのも無理はない。

シーズン1では魅力的なキャラクターがほとんど死んでいるため、新たなエピソードには活用できない。シーズン2の主要キャラクターでシーズン1から続投したのは、ギフンと親友チョンベ(チョンベはシーズン1の序盤にちらっと登場)、ゲームのリクルーター、ゲームのフロントマンと、ほぼ新キャラ。フロントマンがゲーム参加者として潜入する描写も、シーズン1を見た人にとっては「またか」となるだろう。

じつはシーズン2と3はもともと1シーズン分のつもりで書かれた脚本であり、シーズン3で完結することが明らかになっている。「ドラマのシリーズを作るというよりは、長編映画を一本撮る感覚で作ったのがシーズン2と3」というファン・ドンヒョクは更にこう語った。

「シーズン1が完成するまで10年かかっているため、相対的に言えば、シーズン2と3の作業期間は短かった。シーズン1で世界観が完成していたからだ。セット、ワードローブ、ゲームのシステムなど、この世界観の構築が一番難しかった。また、なるべく早く、次のシーズンを提供できるよう全力を投じた」


「イカゲーム2」より

「3」はこうなる?! 答え合わせは6月に

長編の中盤、すなわちシーズン2のラストは、ゲームの賛否を問う◯・×の両派の対立乱闘をきっかけに、ギフンと彼に賛同する参加者たちがタッグを組むが、参加者に偽装していたフロントマンの裏切りで窮地に。

一方、特殊部隊とともにゲーム開催地を捜索しているファン刑事たちにも危険が迫っている。ここからギフン、そして外の世界にいるファン刑事はどうやってゲーム首謀者にたどり着くのか。また、顔を持つピンクガード(脱北者のカン・ノウル)と□階級ピンクガードのエピソードも全く進んでいないし、シーズン1で解明されなかったフロントマンとファン刑事の兄弟の確執もあいまいなままだ。

ファン・ドンヒョクは「ゲームのシステムを維持したいと望むVIP、資金源がいなくてもゲームは続いていることを知ったギフンは、これら全ての背後にいる首謀者を見つけて止めるためにゲームに戻った。これがシーズン2と3のはじまりだ。だが、伝えたいストーリーはそれではない」という。

「弱い側にいる私たちのほとんどが、世界をより良い場所にしようとする意志と強さを持っているのだろうか? すなわち、私たちは本当に欲望を手放し、より良い世界を共に創り出すことができるのかどうか。私が提起したかったのはこれであり、ゲームの背後に誰がいるのかについてはあまり重要ではない。支配下にある人々、つまり私たちの大多数は変化を起こそうと努力し、より良い未来を共に望むことは、常に普通の人々、そして私次第」

また、ギフン役のイ・ジョンジェも撮影エピソードでヒントを出している。「何百人もの人々と一緒に仕事をするのがとても大変だったが、ゲームのラウンドごとに脱落するキャラクターがおり、その度にそれを演じた俳優はクランクアップし、皆で集まってグループディナーをした。毎日、必然的にこれらの悲しい別れがあり、撮影日がたつにつれて、本当の意味での孤独を感じた」

これらから妄想すると、こうなるのではないだろうか。船で捜索を続けるファン刑事一行は、ゲーム側に買収されている船長の暗躍に気づき、一気に開催地に接近。一方、再び親友を失ったギフンはオ・ヨンイルに偽装していたフロントマンに激怒するも、ピンクガードに捕らえられる。だが、ゲーム以外での殺人は許されていないため、反乱を起こしたとはいえゲームに戻され、特殊部隊出身のヒョンジュらと合流し、作戦を再考。

その間、ゲーム開催地に潜入したファン刑事は、前シーズンのようにピンクガードへの接近を試み、臓器売買の証拠と引き換えにカン・ノウルを懐柔。ゲームが続行し、主要キャラクターが次々と減っていくなか、ギフンとファン刑事が合流し、命がけでフロントマンを含むゲーム側の正体を暴いていく。

少ない情報からの妄想なので、むしろこうならないでほしいし、ファン・ドンヒョクも「期待は確実に裏切る」と語る通り、予測不能のシーズン3を待ちたい。シーズン3は6月27日に世界同時配信される。

Netflixシリーズ「イカゲーム」シーズン1~2:独占配信中、シーズン3:2025年6月27日世界独占配信

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