「流浪の月」 ©2022「流浪の月」製作委員会

「流浪の月」 ©2022「流浪の月」製作委員会

2022.7.09

真実は一つではない 「流浪の月」 後藤恵子

2022年もはや7月。上半期の映画界では、新作に加えてコロナ禍で延期されていた作品がようやく公開され、ヒットも続発。映画館のにぎわいも戻ってきた。ひとシネマ執筆陣が5本を選び、上半期を振り返ります。

後藤恵子

後藤恵子

①   「流浪の月」(李相日監督)
②   「ベイビー・ブローカー」(是枝裕和監督)
 
ついこの前2022年が始まったと思ったら、もう下半期に突入し、上半期を振り返る時期になっていることに愕然(がくぜん)としている。あまり本数を見られていないため、イレギュラーな形で恐縮ながら2本を挙げた。
 

「ベイビー・ブローカー」 © 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

時代に思いはせるきっかけに

前者は「未成年の誘拐」、後者は「子供の養育放棄と売買」が、直接的なテーマ。どちらの作品もヘビーなテーマを扱っているけれども、共通している裏テーマは、「世に出ている事実が必ずしも真実とは限らない」であると個人的に思う。どんな物事も当事者のひとりひとりに真実がある、という当たり前ではありながら、普段あまり念頭に置いていなかったことを映像で突き付けられた感があり、現在、世界のどこかで起こっている問題や争いに思いをはせることになるという、ある意味時代を映し出すきっかけになるような作品だと思う。そして、2022年後半はもっと劇場に足を運んで、映画界を盛り上げる一助になりたいと反省しています(笑)。

ライター
後藤恵子

後藤恵子

ごとう・けいこ 熊本県出身。映画WEBメディア運営会社、広告会社で営業、映画事業などコンテンツビジネス周りを担当。2021年10月にダフネ・エンタテインメント㈱を設立。主に映画・アニメ周りのプロモーション等に携わる。

新着記事