毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2021.3.25
データで読解:豊かな春 さらに弾みを
ランキングは「コロナ以前の春」を感じさせるバラエティーの豊かさだ。アニメ作品の大ヒットが続く中、人気俳優主演ドラマの劇場版「奥様は、取り扱い注意」が2位スタート。ハリウッド製の「トムとジェリー」が続き、アカデミー賞候補の「ミナリ」も小規模公開ながら10位につけた。しかし動員全体では例年を下回るペースで推移。まだまだ作品の供給が足りない。
年次の市場調査ではコロナ禍前と比べて、映画館で映画を年に1回以上見る映画参加者の割合は減少し、動画配信で見る割合が増加。一方で「映画は映画館で見たい」と答える割合はむしろ上昇している。映画を家で楽しむようになった人もいれば、家で多くを堪能したからこそ、これぞという作品は映画館でという人もいるだろう。
また映画館で映画を見ることに「気分転換」「日常生活からの解放」を求める割合が高まっている。映画館に行く理由は「大画面・高画質」が最も高く、「大音量・高音質」「集中して鑑賞」「非日常感」が続く。映画館ならではの体験に魅力を感じる人も増えているようだ。
あとは映画館で見るべき作品の供給量。邦画の期待作が多く控え、ロサンゼルスの映画館も営業再開し、ハリウッド大作が待たれる。動員に弾みがつくことに期待がかかる。(GEM Partners代表・梅津文)