アンネ・フランクと旅する日記  © ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND

アンネ・フランクと旅する日記 © ANNE FRANK FONDS BASEL, SWITZERLAND

2022.3.10

アンネ・フランクと旅する日記

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ナチスの迫害から逃れるために隠れ家に身を潜めていたアンネ・フランクがつづった「アンネの日記」。〝親愛なるキティー〟から始まる誰もが知る日記を、空想の友達、キティーを主人公にする斬新な方法でアニメーション化した。アムステルダムの博物館に展示されている日記帳の中から現れたキティーは、アンネが恋した男の子と同じ名前を持つスリの少年、ペーターと出会い、旅を始める。

日記帳のページの上に万年筆のインクが滴ると文字が線画となり、キティーが登場する瞬間は、アニメーションの力を感じるシーン。時空を超える彼女は過去で大好きなアンネと再会し、現代では痛ましい戦争の傷痕をたどっていく。監督は「戦場でワルツを」のアリ・フォルマン。博物館に行列する人々のすぐそばで難民たちの姿も描き、悲劇が繰り返されている現実を浮かび上がらせる。難民たちが飛行船に記した「I AM HERE」というメッセージが投げかけるものは大きい。1時間39分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(細)

異論あり

擬人化したキティーがアンネのその後をたどり、現在との懸け橋になる構成は見事。難民問題への橋渡しも違和感はない。ただ、結末へとつながる展開はいささか安易で、物語としてのまとまりに重きを置きすぎた。「アンネの日記はどこ」という問いこそ、もっと深めるべきでは。(鈴)

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