「マリウポリの20日間」 ©2023 The Associated Press and WGBH Educational Foundation

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2024.4.26

時代の目:「マリウポリの20日間」 日常が地獄に変わる瞬間

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2022年、ロシアが侵攻を開始したウクライナのマリウポリでは、一体何が起こっていたのか。国際紛争の取材を続けてきたAP通信取材班が、惨状としか呼びようのない現実にカメラを向けた。

民間人が住むマンションを容赦なく爆撃し、理不尽に命を奪っていくロシア軍。突然、住む場所や家族を失った人々が泣き叫ぶなか、涙をにじませて幼い子供の治療にあたる医師たち。空爆によって被害を受けた産科病院からはケガをした妊婦が運び出され、搬送先で亡くなってしまう。

胸が潰れるような場面の連続だが、これはウクライナの現状を世界に知らしめるべく命がけで撮影に臨み、脱出を試みたジャーナリストの決死の記録でもある。日常が地獄へと変わる瞬間を映し出し、戦争の恐ろしさと愚かさを生々しく伝えた作品の意義は大きい。NHK「BS世界のドキュメンタリー」でも放送され、今年の米アカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞を受賞。ミスティスラフ・チェルノフ監督は授賞式で「映画は記憶を形成し、記憶は歴史を形成する」と語っている。ウクライナで何が起こっているのかを知るために、間違いなく今見るべき作品だ。1時間37分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

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