「ブルックリンでオペラを」 2023. AI Film Entertainment LLC. All Rights Reserved.

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2024.4.05

「ブルックリンでオペラを」 ドラマチックでハッピーな結末

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

精神科医のパトリシア(アン・ハサウェイ)と現代オペラ作曲家でスランプ中のスティーブン(ピーター・ディンクレイジ)の夫婦。スティーブンは、引き船の船長で恋愛依存症のカトリーナ(マリサ・トメイ)にバーで声をかけられる。誘われるままに彼女の船に乗り込んだものの、理性を取り戻して逃げ出した。カトリーナをモデルに作った舞台は成功、ロビーに本人が待ち受けていた。

潔癖症やストーカーなど現代人の心理的な悩みをちりばめたかと思えば、中盤からは10代の恋愛成就に彼らが奔走する急展開。ニューヨーク・ブルックリンを舞台にスクリューボール・コメディーのスタイルを取り入れ、オリジナリティーあふれる物語を生み出した。俳優陣の一癖も二癖もある演技にニヤリとしつつ、ドラマチックでハッピーな結末になだれ込むロマコメ。引き船や南北戦争、修道女といった道具立てもユーモアとアイロニーが利いて、笑いを誘う。現代オペラの舞台は素朴で奇妙なおかしみもたっぷり。レベッカ・ミラー監督。1時間42分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・なんばパークスシネマほか。(鈴)

ここに注目

背の高いセレブ、パトリシアは内面に大きな矛盾を抱え、スティーブンも自信を喪失している(夫婦の身長差を強調するカメラ構図が斬新)。白人の美男美女の恋愛成就といったステレオタイプではなく、ダイバーシティーに対応しようという意図は明確だ。しかも、説教臭くなく、さわやかなエンドロール。(坂)

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