ひとしねま

2024.1.12

チャートの裏側:戦闘シーンが気持ち逆なで

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

能登半島地震の影響により、元日から石川県などの映画館で休館が相次いだ。早い復旧を願う。避難所などで困難極まる日々を送っている方々、家屋に取り残された方々のことを思うと、言葉さえ失う。それらを頭に入れ込みながら、映画の話に移らせていただく。

新作トップなので、あえて「エクスペンダブルズ」の第4作「ニューブラッド」に触れる。正直、複雑な思いを抱いた。核爆弾を巡り、CIA(米中央情報局)の傭兵(ようへい)部隊と、敵対する組織が激しい戦闘を繰り広げる。容赦ない殺戮(さつりく)と血しぶきなど、アクション描写はかなりハードだった。それはいいのだが、アクション=戦闘シーンがどうにも気持ちを逆なでする。世界で起きている戦争がダブってくるのだ。いったい、何を見ているのか。ちょっと、いたたまれなくなることも度々だった。かつてのようには、のんきに戦闘シーンを見られなくなっていた。

このシリーズは、興行収入が7億~9億円あたりで推移している。今回も、その数字に近くなるとみられるが、観客はどう感じているだろうか。数字からは読み取れないマインドの変化がある気がしてきた。政治的な要素を持ち、核爆弾を扱う本作のようなアクション映画を、エンタメと割りきれるかどうか。フィクションと現実は、微妙な関係性の上に成立している。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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