ひとしねま

2023.5.12

チャートの裏側:GWに見たにぎわい復活

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

今年のゴールデンウイーク(GW)興行はダイナミックだった。「名探偵コナン」(2位)が、シリーズ初の興行収入100億円突破。日本のゲームソフト発のハリウッド作品(1位)が100億円、テレビドラマの映画化作品(3位)が40億円、及びコミック原作の実写化作品(4位)が30億円をそれぞれに超える見通しだ。

後者3作品は現時点の最終的な推定数字だが、GW興行だけを見れば、観客が確実に戻ってきた。4月末から5月上旬までの興収では、各興行会社は新記録続出である。作品がそろったことが大きいが、それだけだろうか。4作品ともに客層が見事に分かれた点が重要だった。

このようなケースは意外に少ない。同時期に大ヒット作品が出た場合、1本ないし2本に集中することが多い。客層がかぶる他作品が割を食うことがあるのだが、今回は多様な階層、年代の観客がうまくばらけた。バランス感覚ある番組編成がはまった。ここは評価したい。

実感もある。GW期間中、都心のシネコンを何度か訪れたが、ロビーのにぎわい、晴れやかな雰囲気はコロナ前と変わりなかった。社会生活同様に、目指す映画に向かう観客たちから安心感が見て取れた。それも、作品に応じた集客を実現した理由の一つだろう。今後、その安心感が担保されていくことを願いたいが、妙な不安もなくはない。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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