ひとしねま

2024.2.09

チャートの裏側:ワクワクする鬼滅が見たい

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

邦画アニメーションの好調さが相変わらず続くが、少し気になることも出てきた。依存度が高くなり過ぎているのだ。実写作品が、なかなか伸びないからアニメに頼る。市場原理ではあるが、ではアニメの現状はどうなのか。初登場トップの「『鬼滅の刃』絆の奇跡、そして柱稽古へ」の場合を見てみる。

「鬼滅の刃」はテレビ放送された回と、これから放送される回の二つの話の公開で、このようなバージョンは昨年に次ぐ。前半が、炭治郎と鬼との対決バトルのつるべ打ち。後半が、鬼退治の鬼殺隊の面々が登場する。2話ともに楽しめる。緩急の話の組み合わせが見事だった。

ただ数字はシビアだ。昨年は興行収入が42億円。今回は25億を超えるかどうか。他のアニメではまねのできない数字だが、下がった事実は受け止めたい。テレビと連動した作品が明らかだから、やはり関心の度合いは落ち着いたと見るべきだろう。ブームの余韻が昨年とは違う。

絶えず、映画館での作品浸透を滞らせない戦略は分かる。興行の安定感も抜群だ。とはいえ、もっと映画館という場を考えていかないと、この手法は早晩、飽きられていくのではないか。今回、テレビ版へ続くだろう見どころのシーンも多々あるが、裾野が広大なファン層に強烈に届く作品が見てみたいと思った。映画館ならではの「鬼滅の刃」にもっとワクワクしたい。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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