ひとしねま

2023.9.01

チャートの裏側:予告編の迫力

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

意外なヒットと言うべきか。巨大ザメとのバトルを描く「MEG ザ・モンスターズ2」だ。海洋アクション映画だが、大作感はない。「ジョーズ」の昔とは違う。いわゆるB級映画である。前作は興行収入15億3000万円。今回も同程度の成績が狙える。フロックではなかった。

今年、洋画で10億円を超えた作品は、今のところ12本だけだ。邦画は22本ある。クリアした洋画は、アニメーション、トム・クルーズ主演作、ディズニーなどの大作ばかり。偏っているとも言えるが、そこにサメ映画が鎮座することになるだろう。何とも、面白い現象ではないか。

宣伝の要である予告編に迫力があった。動物同士の食い合いで、段階的により大きな動物が優位に立つ。巨大ザメが頂点にいて、予告編はその様を見せた。ところが、本編ではそのシーンは冒頭で終わり、あっけない。予告編は、本作最大の見せ場をうまく取り込んだ。

海洋アクションファンが予想外にいると聞いた。昨今の洋画大作のように、AI(人工知能)などの最新技術を駆使した複雑な話の展開もない。理屈抜きに、巨大ザメと人間との格闘が楽しめる。いわば、「ジョーズ」が切り開いたダイナミックな映画テイストが、今も脈々と引き継がれているということだろう。これで、作品にもう少し充実感があったら、申し分なかった。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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