ひとしねま

2024.4.12

チャートの裏側:躊躇呼ぶ「大作」の長さ

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

前回の順位と同じだったが、「オッペンハイマー」は数字を落とした。2週目の週末3日間の興行収入は1週目の約61%。「原爆の父」を描く内容と、米アカデミー賞の作品賞受賞の話題性から、スタート時に観客の集中度が高かったと言える。10日間累計は8億3000万円である。

複雑極まる人間関係は、なかなか理解が難しい。興行の決め手の一つがそこにある。話題性は興行の入り口において、ある程度の効果を発揮したが、わかりにくさは興行的にはマイナスだ。題材のインパクトと映像の迫力で飽きさせないが、口コミの強い発動はどうだろうか。

加えて、上映時間は3時間である。年配者にとっては、かなりきつい長さではないか。題材に関心が高いだろう年配層が、思ったほど伸びていない。とくに、地方がそうだ。最近の洋画大作は時間が長い。映画に関心があるのに躊躇(ちゅうちょ)する。本作も、その一本に感じられる。

公開の意義は計り知れないが、そこばかりを声高に強調しても観客はついてこない。実のところ、勝負はこれからだと思う。意義の大きさを映画館側の姿勢としても、どのように捉えていくか。今後は上映回数も減っていくだろうから、比較的見やすい時間帯にしてロングラン態勢で臨むべきだ。見ようか、どうしようか。モヤモヤしている人は確実にいるだろう。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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