ひとしねま

2023.11.17

チャートの裏側:女性ヒーローに存在感を

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

米映画の女性ヒーローものの現状が問われる作品である。マーベル映画の最新作「マーベルズ」だ。前作「キャプテン・マーベル」は、マーベル映画最盛期の2019年に公開されたこともあり、興行収入が20億円を超えた。今回、その半分に届くかどうか。いささか物足りない。

米映画の女性ヒーローものをコミック原作の実写版でたどると、ヒットが難しいのが分かる。過去では、惨敗を喫した「スーパーガール」(1984年)が思い出される。近年では「ワンダーウーマン」などが健闘したが、盛り上がりは全体的に欠ける。メインどころにはなりにくい。

「マーベルズ」は、主人公のキャプテン・マーベルに2人の女性が加勢する。敵も女性だ。さらに、演じる俳優の人種も多岐にわたる。多様性を重視したエンタメ大作というところが、いかにも今日的である。ただ、主人公のヒーローとしての存在感が薄いことが気になった。

主人公の存在感は、ヒーロー映画には欠かせない。それが今回、主人公はじめ、助っ人2人を見ても、戦いに秘めた感情の生起が乏しい。いわゆる、キャラクターが立っていないのだ。これでは話も弾まない。今日的な企画を、いかに観客目線のエンタメ大作に仕上げるか。女性ヒーローものに求められるのは、清濁併せのむ魅力的なキャラクターの造形だと思う。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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