「貴公子」  © 2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

「貴公子」 © 2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

2024.4.12

「貴公子」 圧巻のアクションとスピーディーな展開

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

フィリピンで暮らす青年マルコ(カン・テジュ)は病気の母のため、アンダーグラウンドのボクシングで日銭を稼いでいた。ある日、一度も会ったことのない父が自分を捜していると聞き、韓国に向かう。マルコは機内で自らを友達だと名乗る〝怪しい男〟(キム・ソンホ)に出会う。しかし、現地に到着するやいなや、正体不明の人々に訳も分からず狙われる。

THE WITCH/魔女」シリーズのパク・フンジョン監督による韓国ノワール。ド派手な銃撃戦やカーチェイスに緊迫感がみなぎり、たたみかけるような王道のアクションに目を見張る。マルコがなぜ追い詰められるのか、観客も分からない。その作劇のうまさとスピーディーな展開が圧巻だ。マルコから目を離さない〝男〟が冷酷で腕も一流、スーツ姿のクールな外見にウイットまでそなえた優男というのも心憎い。遺産相続争いという真相は平板だが、有象無象の人物たちのキャラクターも明快で、結末にスッキリ感も。アクション映画ファンも堪能できる韓国作品。1時間58分。東京・丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマほか。(鈴)

ここに注目

殴り合いにカーチェイスに銃撃戦、そのせいでストーリーにおいて少々おろそかになっている部分があるのではと思うほど血みどろのシーンが多い。でも、だからこそそんな中でも常に潔癖さと美しい笑顔を保つ主人公のキャラが際立ったのかも。彼の活躍が今作だけで終わってしまうのはもったいない。(久)

新着記事