「地獄でも大丈夫」

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2024.11.22

特選掘り出し!:「地獄でも大丈夫」 善悪の境目をさまよう

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

いじめられっ子のナミ(オ・ウリ)とソヌ(パン・ヒョリン)は、自分たちをいじめたチェリン(チョン・イジュ)がソウルで悠々と暮らしているのを知って、復讐(ふくしゅう)に向かう。怪しげな宗教施設で再会したチェリンは人が変わったような善人になり、「楽園」行きを夢見ていた。

いじめ、カルト宗教といかにも今風の要素を取り込みながら、一ひねりも二ひねりもした韓国のブラックコメディー。威勢がいいのは口先だけのナミ、臆病そうで芯は強いソヌの凸凹コンビは、チェリンに恨み骨髄。一方チェリンは改心し、罪を認め罰を受け入れると無抵抗。怒りはどこへ向かうのか、カルト宗教は救いとなるのか。凸凹コンビのドタバタを交えながら、先の見えない展開で引っ張っていく。善悪のあいまいな境目をさまよっていく少女たちの、苦い青春映画でもある。
 
韓国映画アカデミーが、卒業生のイム・オジョン監督のデビュー作を製作。低予算(と思われる)ながら脚本が練られ映像も痩せていない。停滞が伝えられる韓国映画界、才能育成は続き、復活は遠くないのでは。1時間49分。東京・ユーロスペース。大阪・第七芸術劇場(12月14日から)ほか、全国でも順次公開。(勝)

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