「ジェーンとシャルロット」 ©2021 NOLITA CINEMA – DEADLY VALENTINE PUBLISHING  ReallyLikeFilms.

「ジェーンとシャルロット」 ©2021 NOLITA CINEMA – DEADLY VALENTINE PUBLISHING ReallyLikeFilms.

2023.8.04

「ジェーンとシャルロット」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2018年、女優のシャルロット・ゲンズブールは、来日中の母であり女優であるジェーン・バーキンの撮影を始める。作曲家で歌手のセルジュ・ゲンズブールの元パートナーと、その娘。両親が別れた後、父のもとで育ったシャルロットが、母との心の隙間を埋め、母の真実を知ろうとカメラを向けたドキュメンタリーだ。

最初は困惑していたジェーンは米ニューヨーク、仏ブルターニュ、セルジュのアトリエがあるパリをたどるうちに、次第に心の内を語りだす。3人の異父姉妹への愛や自死した長女ケイトへの悲しみの深さ、セルジュへの思い。病を患い人生を振り返るジェーンの言葉は重みがあり、シャルロットが作り出すジェーンとの距離感もすばらしい。微妙な関係性を超えて、母娘がいたわりあう終盤は映像の美しさも含め胸を打つ。日本公開直前にジェーンが他界。「美しき諍い女」など数々の秀作に出演した名優に合掌。シャルロット・ゲンズブール初監督作品。1時間32分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(鈴)

ここに注目

冒頭のインタビューのシーンで、母娘の間には気まずい空気が漂っている。どこか内気に見える2人が対話をするには、その間にカメラが必要だったのではないか。シャルロットにとってはドキュメンタリーを撮ることが、母という人を知る最良の方法だったと思うし、彼女にしか撮れない顔が映し出されている。(細)

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