1963年11月22日、米テキサス州ダラスでのパレード中に発生したジョン・Ｆ・ケネディ大統領暗殺事件。この20世紀最大のミステリーとも呼ばれる大事件を題材にした、91年の劇映画「JFK」でセンセーションを巻き起こしたオリバー・ストーン監督が新たに検証したドキュメンタリーだ。

まず冒頭の約10分で、世界中に衝撃を与えた暗殺事件の要点をスピーディーに映像化。続いて「ＪＦＫ」発表後に公開された膨大な機密資料に基づき、リー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行説、ケネディの体を撃ち抜いた〝魔法の弾丸〟の矛盾を改めて証明する。そして自らインタビュアーを務めたストーン監督は、法病理学や歴史などの多様な分野の専門家の証言を集め、事件の政治的な背景やいかに真実が隠蔽（いんぺい）されたかを解き明かしていく。

さらに犯行現場となったテキサス教科書倉庫の職員の目撃証言、ベセスダ海軍病院で行われたケネディの遺体検視にまつわる謎など、検証はいくつもの不可解な細部を掘り起こす。そのできばえは濃密かつスリリングで見応え十分。ただし論点が多岐にわたり、あまりにも情報量が多いため、集中力を最大限に高めて鑑賞すべし。1時間58分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。（諭）