「猿の惑星/キングダム」 © 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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2024.5.10

「猿の惑星/キングダム」 文句なしの視覚効果とアクション

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2017年の「猿の惑星:聖戦記」で完結した3部作に続く新シリーズの序章である。前作から300年後、猿が地球を支配する世界。巨大帝国を築いたリーダーのプロキシマス・シーザー、彼の帝国から仲間を取り戻そうとする若き猿のノア、そしてノアが旅のさなかに出会う人間の女性ノヴァ(フレイヤ・アーラン)らの葛藤と闘いのドラマが繰り広げられていく。

知的な進化を遂げた猿と、滅びゆく人類の攻防を描いた前3部作は、実に見応えあるサーガだった。その世界観を継いだこの新作は、歴史上の伝説となったシーザー(前作までの主人公)の教えをゆがめる独裁的な支配者プロキシマスと、まっさらな心を持つノアが物語の対立軸となる。険しい森や岩壁、廃虚化した文明を背景にした壮大なスケール感、視覚効果とアクションのクオリティーは文句なし。野生化した人類はすっかり脇に追いやられたと思いきや、終盤に意外な急展開が待ち受ける。そのスリルとともに「えっ、この先どうなるの?」という驚きを味わうべし。ウェス・ボール監督。2時間25分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・あべのアポロシネマほか。(諭)

異論あり

いくら映像がリアルでもしょせん猿同士。動物園の猿山を見ているようで面白いが、感情移入の度合いはもう一つ。その中で、プロキシマスの腰巾着となった現実主義の人間、トレヴァサン(ウィリアム・H・メイシー)が妙にリアル。人間の優越性などしょせん幻想という冷めた洞察には共感した。(勝)

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