「高速道路家族」  Ⓒ 2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved..jpg

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2023.4.21

「高速道路家族」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

高速道路のサービスエリアで詐欺を繰り返しながら、テント生活を送る親子4人の家族。そんなある日、父親のギウ(チョン・イル)が警察に連行され、残された母親と2人の子供は、中古家具店を営む中年夫婦のもとに身を寄せることに。

韓国社会の格差問題を鮮烈に描いた「パラサイト 半地下の家族」の系譜に連なる家族ドラマ。新人のイ・サンムン監督が自作のオリジナル脚本を映画化した。まるでピクニックを楽しむかのように、サービスエリアを転々とするホームレス一家の日常を映し出す前半は明るいコメディー調。トラウマを抱えた主人公ギウが精神的な混乱に陥る後半は一転、離ればなれになった一家の過酷な運命が描かれていく。シリアスなテーマにほどよくユーモアを配合した語り口が巧みで、地方ののどかな風景を収めたロングショットの挿入も効果的。純真な子供の視点を取り入れたことで、一度の過ちですべてを失った父親の心の痛みがひしひしと伝わり、微妙な余韻を残す結末まで見る者の情に訴えかける一作となった。2時間8分。東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋(28日から)ほか。(諭)

異論あり

高速道路のサービスエリアでの生活は、人生を途中下車したまま先に進めない一家を象徴する。しかし、詐欺の手口も含め場当たり的でのんびりとした光景には、緩慢さを感じてしまった。中年夫婦と母子との同居に絡む描写もやや類型的で、父親の言動などドラマチックな展開が先行しすぎた感も。(鈴)

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