「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」 © Institution of Production, LLC

「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」 © Institution of Production, LLC

2023.11.17

「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」 深い余韻を残す自由と居場所を求める人たちの物語

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

12年間、精神科病院に隔離されている少女、モナ・リザ(チョン・ジョンソ)。月が赤く輝く夜に突然、目を見ただけで他人の行動を操ることができる特殊能力を覚醒させる。病院から逃走した彼女がたどり着いたのは、ニューオーリンズ。彼女は音楽が鳴り響く街で、さまざまな人たちと出会っていく。

「ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女」で脚光を浴びたアナ・リリ・アミリプール監督の長編。強烈な能力が目覚める冒頭から、サイケデリックな映像と聴覚を刺激する音、先読みできない展開で、新しい世界に触れるモナ・リザの物語へとパワー全開で観客を引き込む。

Netflixのドラマ「ペーパー・ハウス・コリア 統一通貨を奪え」などで注目されたジョンソが、野に放たれた無垢(むく)な動物のようにも見えるモナ・リザを演じ、一筋縄ではいかないシングルマザーのポールダンサー役にケイト・ハドソンを起用するなど配役も光る。派手な映像でコーティングされた自由と居場所を求める人たちの物語は、意外なほど深い余韻を残す。1時間46分。東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細)

ここに注目

特殊能力を得たモナ・リザの行動は、決して褒められたものではない。でも、彼女を非難するどころか応援したくなるのは、自由を求める気持ちが強烈に伝わってくるから。モナ・リザに助けの手を差し伸べる人々との交流、彼女と固い絆で結ばれる少年との関係性に心が温かくなった。(倉)

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