毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。
2023.10.06
配信チェック:「ONE PIECE」 実写で漫画の世界観に迫る
日本の、いや世界中の読者をとりこにしてきた人気漫画が、実写の連続ドラマになった。米国のスタジオなどが製作し、主人公モンキー・D・ルフィ(イニャキ・ゴドイ)の「海賊王におれはなる!」をはじめ、全編のセリフは英語。そうだ、物語の舞台は日本じゃないよなと思って見ていたら、突如、巨大な漢字が描かれた船の帆が登場する。画面の奥に、不思議な大海原の世界が広がる。
麦わらのルフィは「ひとつなぎの大秘宝」(ワンピース)を探し当てるため、海を渡る旅に出発。航海士のナミ(エミリー・ラッド)や剣士ゾロ(新田真剣佑)も仲間になる。ルフィが腕を異様な長さに伸ばして繰り出す「ゴムゴムの銃(ピストル)」も、ちゃんと再現する。
もちろん架空の物語だが、キャラクターのいでたちや海賊船のセットなど、漫画の世界観に迫ろうとする「リアリティー」の追求度がものすごい。そして、ルフィは海賊だが、仲間たちを思う「正義」の心が一瞬たりともブレず、心地よい。少々強引だが、「水戸黄門」のような時代劇を連想しながら話を追いかけていたら、最終話まで一気見していた。心にしみるという点では、特に第6話の前半と終盤のシーンがお薦めだ。
監督はエマ・サリバンとマーク・ジョブストら。全8話。ネットフリックスで独占配信中。(屋)