「ペルリンプスと秘密の森」 ©Buriti Filmes2022

「ペルリンプスと秘密の森」 ©Buriti Filmes2022

2023.12.01

「ペルリンプスと秘密の森」 美しい絵で語られる自然と共生する意味

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

テクノロジーを駆使する太陽の王国のクラエと、自然との結びつきを大切にする月の王国のブルーオ。2人の秘密エージェントは、「巨人」の脅威から魔法の森を守るため派遣されている。その唯一の方法は、かつて光として森に入り込んだ「ぺルリンプス」を見つけること。初めは敵対した2人だが、共通の目的のために手を組む。「父を探して」でアカデミー賞候補となった、ブラジルのアレ・アブレウ監督によるアニメーション。

冒頭から目を見張る色彩表現の連続。まばゆいまでの色調の美しさ、光と影、みずみずしさにあふれた世界に圧倒される。一方、物語は「ぺルリンプス」「巨人」の意味するものが明らかになるにつれ、現実社会のむごたらしさを映し出し、自然を育み共生する意味も問いかける。森の中で手がかりを求めて右往左往するクラエとブルーオは、今の国家であり、社会であり、個人でもある。映画の最後には、2人の真の姿が明らかになる。思ってもいなかった自身の姿におびえる2人を通して、差し迫った危機を救えるのは誰かと問いかける。1時間20分。東京・YEBISU GARDEN CINEMA、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(鈴)

ここに注目

キャラが立っていて分かりやすく、写実的なエンタメに向かう日本アニメとは別方向。可愛らしい小動物風の登場人物と美しい絵で語られる物語は、多くの隠喩や文明批判が込められている。派手さはなくても奥行きが深い。日本でもこういう作品が作れればいいのに。(勝)

新着記事