「RHEINGOLD ラインゴールド」 ©KG Palosanto Films Srl Rai Cinema S.p.A Lemming Film corazón international GmbH&Co.KG  Warner Bros. Entertainment GmbH Photo© 2022 Bombero Int._ Warner Bros. Ent._Gord.jpg

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2024.3.29

「RHEINGOLD ラインゴールド」 あまりにも波瀾万丈な成功への軌跡

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ドイツのラッパー兼音楽プロデューサー、カター(本名=ジワ・ハジャビ)の伝記映画である。つまり実話に基づく作品だが、主人公ジワ(エミリオ・ザクラヤ)がたどる軌跡があまりにも波瀾(はらん)万丈で驚かされる。

イスラム革命が勃発したイランで生を受け、音楽家の父とともに刑務所での服役を経験。移住先のドイツでは貧しさにあえぐなか、不良たちを倒すためにボクシングを学ぶ。さらに裏社会の仕事に手を染めながらラップの魅力に目覚めるが、金塊強盗を行って指名手配され……。

クルド系移民のジワが行く先々で苦難に直面する人間ドラマをベースに、青春や恋愛、家族劇、ギャング映画、音楽ものの要素を盛りつけ、娯楽性たっぷり。自らもトルコ移民2世で、幅広い作風で鳴らすファティ・アキン監督が、音楽によって救われる青年のサクセスストーリーを楽天的なタッチで描いた。中盤はいささか間延びするものの、ジワが刑務所内で録音した楽曲でデビューを果たす終盤のエピソードまで、〝うそのようなホントの話〟を満喫できる。2時間20分。東京・ヒューマントラストシネマ有楽町、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(諭)

ここに注目

縦横無尽なカメラワークやテンポのいい語り口が、実話とは思えないダイナミックな物語をさらに弾ませている。悪事を働いてもどこか純粋さを失わないジワを演じるザクラヤのまなざしも印象的。獄中で机の上に鍵盤を描き、作曲を始める場面にもワクワクした。カターの楽曲をもっと聴きたくなる。(細)

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