「ザ・フラッシュ」 Courtesy of Warner Bros. Pictures™ &©DC Comics

「ザ・フラッシュ」 Courtesy of Warner Bros. Pictures™ &©DC Comics

2023.6.16

時代の目:「ザ・フラッシュ」 大流行の〝マルチバース〟

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

ハリウッドは「マルチバース」大流行。別次元とか並行世界とか「もしも」の上に「もしも」を重ね、何でもありのやりたい放題。フラッシュは、超高速移動の能力を持つDCコミックのヒーローだ。過去を変えて大混乱を引き起こす。

フラッシュことバリー(エズラ・ミラー)は、ヒーロー集団「ジャスティス・リーグ」の一員として人助けに励む。しかし一方で母親殺しの犯人にされた父親が獄中にいることが、心の重荷となっている。両親を救うため超光速で走って時間をさかのぼり、過去を変えて戻ってみると18歳の自分がいる別次元。スーパーマンを追うゾッド将軍(マイケル・シャノン)が地球を襲っているのに、スーパーヒーローが誰もいない。2人のバリーは、やさぐれていた元バットマンの尻をたたき、スーパーマンのいとこを発見した。

デジタル特撮の荒唐無稽(むけい)アクションを見るだけでも楽しめる。〝元ネタ〟を知っていればなおさら、俳優の顔ぶれも含めて見どころ満載。何でもありの設定だけに薄っぺらな世界になりかねないが、変人バリーのキャラクターの立たせ方がうまく、しっかり見せるのはさすがハリウッド。アンディ・ムスキエティ監督。2時間14分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(勝)

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