「ロスト・キング 500年越しの運命」© PATHÉ PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.

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2023.9.22

「ロスト・キング 500年越しの運命」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

持病を抱え、職場では正当に評価されずに昇進を阻まれているフィリッパ(サリー・ホーキンス)は、息子の付き添いで鑑賞した舞台「リチャード三世」に心動かされる。その日から、まるで天命を受けたかのように、シェークスピアの戯曲では冷酷非情に描かれている王の本当の姿を明かすべく、遺骨探しに夢中になっていく。

2012年、500年以上も行方不明だったリチャード三世の遺骨をとある駐車場で発見したのは、アマチュア歴史家の主婦だった!という驚きの実話を映画化。周囲の人たちにまったく理解されずとも、粘り強く真実に近づいていく主人公の姿を描いている。ユニークなのはリチャード三世の存在を実体のあるイマジナリーフレンドのように描写して、〝対話〟を見せていること。名匠、スティーブン・フリアーズ監督のまなざしは信念を貫き通した主人公に寄り添い、権威主義的な教授たちには心底手厳しい。脚本・製作にはフィリッパの別居中の夫役で出演もしているスティーブ・クーガンが名を連ねた。1時間48分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

ここに注目

実話映画職人のフリアーズ監督、今回も安定の仕事ぶり。孤軍奮闘するフィリッパの前に現れるリチャード三世の幻影の出し入れが絶妙で、笑いと涙たっぷりの良作に仕上がった。周囲から軽んじられる一人の女性の途方もない情熱が、歴史家らの権威が振りかざす定説をひっくり返していく展開も痛快。(諭)

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