Y2K=2000年代のファッションやカルチャーが、Z世代の注目を集めています。映画もたくさんありました。懐かしくて新しい、あの時代のあの映画、語ってもらいます。
2023.1.31
モノとして心に残る! Z世代が見た「世界の中心で、愛をさけぶ」
「生きる」とは
生きるって何だろう。
生きることの意味は何だろう。
見終わった頃にはそんな事を考えながら泣きじゃくる自分がいました。
この映画は主人公・朔太郎(大沢たかお・森山未來の2役)が高校時代に白血病で亡くなった最愛の恋人・亜紀(長澤まさみ)との思い出を振り返る物語です。白血病により弱っていく恋人・亜紀の姿と向き合い、最後の最後まで真っすぐな愛をささげる朔太郎の姿は誰よりもたくましいものでした。
初めから時代風景を感じさせる映画
時代設定は1980年代。
街並みや建物など映像に出てくるほぼ全てが今となっては見かけないものばかりでした。
写真館、スクーター、カセットテープ、コーラのボトル、そしてウォークマン。
平成生まれの私にとっては心をくすぐられるようなものばかりでした。
「写真を撮る」
「音楽を聴く」
「連絡を取る」
今はスマートフォンひとつでそれら全てが安易にできるような時代です。
私が80年代に高校生として生きていたのなら
どんな生き様だったのだろう、とふと思いました。
実際、スマートフォンに頼るのではなく、80年代では主流の手紙や直接人の顔を見て連絡が取れるような手段を羨ましくも思います。
そのようなひとつの例に「写ルンです」があります。
「写ルンです」は、撮った写真を見るために「現像」という作業が必要になります。
決まった枚数の写真を撮り、カメラ屋さんで現像。
こういう手間がかかるのも楽しさのひとつだと思います。
現像するまでどんな写真が撮れているか分からないからこそのワクワク感を味わえます。
そして、現像したフィルムはモノとして残ります。
このモノとして残る、というところが新鮮でいいなと思います。
気持ちを伝えることの大切さ
物語は朔太郎と婚約した律子(柴咲コウ)が引っ越しのための荷造りをしていた時に1本のカセットテープを見つけるところから始まります。
カセットテープに残されたメッセージを聞くため、律子はカセットテープが聞けるウォークマンを購入します。
メッセージを聞いた律子は涙を流し、何も言わずに朔太郎の目の前から姿を消しました。
「探さないでください」という置き手紙を残して。
しかしTVの台風報道を見ていた朔太郎は、たまたま律子が映っているのを見ます。
律子の居場所は自分の地元でした。気付いた朔太郎は、律子を追って、地元に向かいます。
そこで朔太郎は久しぶりに実家に帰り、律子の聞いていたカセットテープを聞いてみると流れてきた声は朔太郎の初恋で最愛の恋人だった亜紀の声でした。
物語は朔太郎の高校時代にさかのぼります。
朔太郎と亜紀は同じ高校でした。
亜紀は勉強もスポーツも万能。
朔太郎からするとまぶしすぎる存在でした。
そんな2人がある日を境に付き合うことになります。一緒に通学したり、旅行をしたり朔太郎にとっては幸せな毎日でした。
ですが、そんな幸せな毎日に亀裂が入ります。
朔太郎はどう仲直りをしていいか分かりませんでしたが、亜紀がくれたあるものをきっかけに仲直りをすることができました。
それがカセットテープです。
以降、カセットテープが交換日記として2人の間をつないだのです。
突然ですが、みなさんは交換日記をしたことがありますか。
私は小学生の時、友達と交換日記をしたことがありました。
直接だと言えないことや遊びの約束、一日のささいな出来事を日記として書き留めて交換する。
空いたスペースには好きなキャラクターや最近のマイブームを書いて共有していました。
今思い返せばそんな何気ない日々がとても記憶に残っています。
スマートフォンを持っていない小学生だったからこその連絡手段だったのかなと思います。
高校生になった今はスマートフォンでどんな相手とも簡単にコミュニケーションがとれる便利な時代になりました。
だからこそ、相手と会ってやり取りのできる環境をもっと大事にしていきたいなと思います。
単なる「ラブストーリー」ではない
初めは亜紀と朔太郎の2人の純愛ものだと思っていました。
実際はそうではありません。
亜紀はオーストラリアに行くのを夢見ていました。
そんな亜紀を朔太郎はオーストラリアに連れて行こうとします。
ですがそんな夢を目前にして亜紀は空港で、突然意識を失ってしまいます。
そして病院に運ばれた亜紀はテープにメッセージを残し、そのまま亡くなってしまったのです。
朔太郎はどんな気持ちでいたのだろう。
最愛の人を亡くした朔太郎の悲しみは簡単に推し量れないほど大きかったと思います。
そして亜紀はたくさんの周りの愛を受け取りながら、この世を飛び立ちます。
「死とは何か」
「生きるとは何か」
そう問いかけてくるような展開が待っています。
取り残された周りの人間はどう生きていくのか。
ただ純粋にラブストーリーを描いたのではない。
いろんなテーマが次々と浮かび上がってきます。
今17歳の私は当時の亜紀と同じ年齢です。
だからこそ、物語をより身近に感じるものがありました。
みなさんはもし自分が死んでしまったら、または残されたらと考えたことはありますか。
私には大切な友達がいます。
だからこそ、今友達と笑って過ごせる環境を全力で楽しみたいです。
今を生きる同世代の若者へ
恋をしている全ての方へ
「世界の中心で、愛をさけぶ」
たくさんの言葉を、愛を私はもらいました。
この映画からたくさんの生きるための言葉をもらってください。
写ルンですのようにモノとして心に残る一作です。
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