ひとしねま

2023.1.06

チャートの裏側:チャレンジ精神が結果に

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

2022年の映画興行は、邦画アニメーションが席巻した。数字に明らかである。邦画と洋画を合わせた作品別の興行収入では、上位5本中4本を邦画アニメが占めた。3本が100億円を超える。理由はいろいろあるが、指摘しておきたいことがある、4本とも面白いのである。

ざっくりし過ぎだが、それは興行の持続性からうかがえる。持続性は、いろいろな要素が積み上げる。その一つが、入場者への何回かの特典プレゼントだ。確かに効果はあるが、特典だけでは興行は突き抜けていかない。作品の面白さが根っこにないと、持続性は作られない。

面白さに共通している点がある。人気原作であれ、オリジナル作品であれ、劇場版には製作者たちのチャレンジ精神が息づいていることだ。コミックの原作者が劇場版に深くかかわる場合なら、自身が築いてきた作品の新展開を劇場版に刻む。オリジナル作品も同様である。

製作へのこのような積極姿勢は、大手の製作会社による邦画の実写作品の実情をあぶり出す。この分野の勢いが、弱くなっていると感じるからだ。安定感ある興行を目指すあまり、企画にマンネリ化の傾向が見える。それが、興行の成果につながらない場合が出てきた。邦画アニメの隆盛に、喜んでばかりはいられないということである。(映画ジャーナリスト・大高宏雄)