ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません! c)BLITHE SPIRIT PRODUCTIONS LTD 2020

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2021.9.09

ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません!

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

1937年、イギリス。ベストセラー作家のチャールズ(ダン・スティーブンス)は、スランプに陥っていた。映画プロデューサーである妻(アイラ・フィッシャー)の父の尽力もあり、自作の脚色を担当することになったが、まったく筆が進まない。そこで彼はかつてすべてのアイデアを提案してくれていた亡き妻(レスリー・マン)の霊の召喚を、怪しい霊媒師(ジュディ・デンチ)に依頼する。

マルチな才人、ノエル・カワードが生んだ戯曲をテレビドラマ「ダウントン・アビー」のエドワード・ホール監督が映画化。野心家の妻と幽霊となった元妻、その間でおろおろする夫という、おかしな三角関係が描かれる。スティーブンスの困り顔がチャーミング。レトロなファッションにアールデコ様式のゴージャスな美術が目に楽しく、テンポのいい会話に耳が喜ぶ。女性のたくましさを織り交ぜた現代的なエンディングまで肩の力を抜いて楽しめる、軽妙洒脱(しゃだつ)なイギリス映画だ。1時間40分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(細)

ここに注目

ウイットに富んだ会話と無駄のない語り口で古くささを感じさせないコメディー。気性のはっきりした元妻と今の妻のアンバランスが絶妙で、とぼけた霊媒師の生真面目がさらなる笑いを誘う。3人の女性に振り回され悪戦苦闘する作家にも現代的要素を加え、一気に見せる。(鈴)