1999.3.29

雪の北海道で「鉄道員(ぽっぽや)」ロケ

2021年に生誕90周年を迎えた高倉健は、昭和・平成にわたり205本の映画に出演しました。毎日新聞社は、3回忌の2016年から約2年全国10か所で追悼特別展「高倉健」を開催しました。その縁からひとシネマでは高倉健を次世代に語り継ぐ企画を随時掲載します。
Ken Takakura for the future generations.
神格化された高倉健より、健さんと慕われたあの姿を次世代に伝えられればと思っています。

勝田友巳

勝田友巳

高倉健「寒さはなんともない」--6月公開予定


浅田次郎のベストセラー小説「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影が終了し、6月公開予定で編集が進んでいる。監督は「駅」の降旗康男、主人公の乙松を演じるのは高倉健。雪の北海道でのロケを取材した。

映画の舞台は北海道の架空の鉄路・幌舞線の「幌舞駅」。約9800万円をかけて南富良野町の根室線幾寅駅の駅舎を改装し、駅周辺に床屋や食堂などのセットを建てて撮影が行われた。乙松が運転するキハ12型機関車は現存せず、道内に保存されていたキハ40型を改造した。撮影はダイヤの合間に機関車を走らせて行うため、午後の2時間程度しかない。冷え込めば氷点下20度にもなろうという野外ロケは、天候にも左右されるため条件は厳しい。

「自然が相手の時は撮れる時に撮りまくる。カメラを5台用意している」と木村大作カメラマン。それでも晴れの場面では太陽が顔を出し、吹雪の場面ではちゃんと雪が降り出すツキに恵まれた。降旗監督は「スケジュールは順調」と話す。

生後すぐに娘を亡くし、妻にも先立たれて仕事一筋に生きた乙松が間もなく定年を迎えようという日、一人の少女が訪ねてくる。実はその少女は……、という小説の筋書きは映画でもほぼ同じ。

「報われないけど生きていかなきゃいけないことへの怒りが、読者を獲得したんじゃないか」と降旗監督。「コツコツと働いているのに報われないから泣けるんだと思っている」と話す。高倉の起用については「しょぼくれた乙松ではしようがない。かっこ良く胸を張って一生懸命生きている男でないと伝わらないんじゃないか」。

その高倉は久しぶりの映画撮影に「緊張感が心地良いです。撮影で八甲田や南極にも行っているので寒さはなんともありません」。妻役の大竹しのぶは「待ち時間もずっと戸外で立ったままなんですよ」と驚いていた。

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ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

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