旧約聖書の「十戒」を下敷きに、ワルシャワ郊外の巨大団地に暮らす人々の幾通りもの人生模様を綴った全10編からなる連作集。「トリコロール三部作」(1993、1944)のポーランド映画界の巨匠クシシュトフ・キェシロフスキが、テレビシリーズとして制作したものを1989年にベネチア国際映画祭でお披露目し、国際評論家賞を受賞した歴史的傑作とされる作品。
2024年12月末に国内配給の権利が終了するため、「デカローグ デジタルリマスター版」の最後の劇場上映となる。
【エピソード/全10話】
1、ある運命に関する物語(56分)(出演:ボイチェフ・クラタ、ヘンリク・バラノフスキ)
大学教授のクシシュトフ(ヘンリク・バラノフスキ)は、ある朝、息子のパヴェウ(ボイチェフ・クラタ)から「死って何?」と問われ、魂や神を信じない彼は戸惑う。2人は、近所の池に張った氷の厚さを計算し、安全にスケートができることを割り出すが…。
2、ある選択に関する物語(59分)(出演:クリスタナ・ヤンダ、アレクサンデル・バルディーニ)
ドロタ(クリスタナ・ヤンダ)は、孤独な老医師(アレクサンデル・バルディーニ)を訪ねる。彼女は、危篤状態で入院している夫の容態を問いただす。彼女は夫を愛しながらも、別の男の子を身ごもっており、夫が助かるのであれば子供をおろすというが…。
3、あるクリスマス・イヴに関する物語(58分)(出演:ダニエル・オルブリフスキ、マリア・パクルニス)
家族とイヴを祝っていたヤヌーシュ(ダニエル・オルブリフスキ)の前に、かつての恋人エヴァ(マリア・パクルニス)が現れる。彼女は現在の恋人が行方不明なので一緒に探して欲しいと頼む。ヤヌーシュは妻に嘘をつき、エヴァと共に聖夜のワルシャワを彷徨う。
4、ある父と娘に関する物語(58分)(出演:アドリアンナ・ビェドジェィンスカ、ヤヌーシュ・ガイヨス)
父ミハウ(ヤヌーシュ・ガイヨス)と暮らす学生のアンカ(アドリアンナ・ビェドジェィンスカ)。ある日、彼女は自宅で「死後開封」と記されたこの手紙を発見する。そこには自分を産んですぐに亡くなった母の筆跡があった。
5、ある殺人に関する物語(60分)(出演:ミロスワフ・バカ、クシシュトフ・グロビッシュ)
タクシー運転手を殺害した青年ヤツェック(ミロスワフ・バカ)に極刑の判決が下される。刑執行の日、ヤツェックは弁護士のピョートル(クシシュトフ・グロビッシュ)を呼び出し、自身の家族のことを語りだす。そして最期の時が訪れる。
6、ある愛に関する物語(61分)(出演:グラジナ・シャポォオフスカ、オラフ・ルバシェンコ)
毎夜、向かいの部屋に住む美しい女性マグダ(グラジナ・シャポォオフスカ)を望遠鏡で見つめる郵便局で働く19歳のトメク(オラフ・ルバシェンコ)。彼はあの手この手を使って何とか彼女への接近を試み、遂にマグダに「愛している」と思いを伝え、デートをすることになるが…。
7、ある告白に関する物語(58分)(出演:アンナ・ポロヌィ、マヤ・バレウコフスカ)
16歳で母となったマイカ(マヤ・バレウコフスカ)の母親エヴァ(アンナ・ポロヌィ)は、世間体を気にして子どもをマイカから取り上げ、自身の娘として育てていた。ある日、マイカは娘を連れ出し逃避行に出る。母エヴァも2人の行方を追う。
8、ある過去に関する物語(57分)(出演:マリア・コシュチャウコフスカ、テレサ・マルチェフスカ)
大学で倫理学の教鞭をとるゾフィア(マリア・コシュチャウコフスカ)は、学術交流でアメリカからやってきたエルジュビェタ(テレサ・マルチェフスカ)を紹介される。ゾフィアの授業に参加したエルジュビェアタはある質問を投げかける。それはゾフィアの封印していた過去を呼び起こすものだった。
9、ある孤独に関する物語(61分)(出演:ピョトル・マハリツァ、エバ・ブワシュチク)
回復の見込みのない性的不能に陥り、自暴自棄になった外科医ロメク(ピョトル・マハリツァ)を妻のハンカ(エバ・ブワシュチク)は「愛は心の中にあるもの。下半身じゃない」と慰める。しかし、彼女にはどうやら若い恋人がいるらしく…。
10、ある希望に関する物語(60分)(出演:ズビグニェフ・ザマホスキ、イェジー・シュトゥル)
アルトゥル(ズビグニェフ・ザマホスキ)とイェジー(イェジー・シュトゥル)の兄弟は、疎遠だった父が遺した切手コレクションにとんでもない価値があることを知り驚愕する。2人は、父が最後まで手にできなかった希少なコレクションを手に入れるべく奔走する。