実在の兄弟デュオ「ドニー＆ジョー・エマーソン」が辿った実話をもとに、「アメリカン・ユートピア」（2020年）や「ブロークバック・マウンテン」（05年）などで製作総指揮を務めたプロデューサーのビル・ポーラッドが、「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」（14年）以来8年ぶりに監督・脚本を務めた。主人公のドニーを演じるのは「マンチェスター・バイ・ザ・シー」（16年）でアカデミー賞主演男優賞に輝いたケイシー・アフレック。さらに、ドニーの妻ナンシー役に「（500）日のサマー」（09年）のズーイー・デシャネル、青年期のドニー役を「ハニーボーイ」（19年）や「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」（21年）の若手実力派ノア・ジュプが演じている。

1979年、ワシントン州の田舎町でレコーディングされた1枚のアルバム「Dreamin’ Wild」。当時10代だったドニーは兄のジョーとデュオを結成し、父が息子たちのために自作したスタジオで数々の楽曲を生み出した。家族に支えられ、情熱を注ぎ込んで作ったアルバムだったが、世間からは見向きもされず、夢に手が届くことはなかった。それから約30年後、思い描いていた夢からは程遠い人生を送っていたドニーは、ある日、自分たちのアルバムがコレクターによって発見され、〝埋もれた傑作〟として人気を博していることを知る。思いもよらない成功に家族は喜ぶが、ドニーは目を背けてきた過去や感情と向き合うことになる。