「紅いコーリャン」（1987年）の主演をはじめ、「芙蓉鎮」（88年）での大役など、俳優として実績のあるチアン・ウェン（姜文）が、ワン・シュオ（王朔）の「動物凶猛」を原作に、自身の私的な体験を重ね制作した監督デビュー作。ベネチア国際映画祭主演男優賞や米タイム誌年間ベストワンに輝いた本作が、制作から30年を経て、約10分の未公開シーンを加えて「完全版」として公開される。

1970年代、文化大革命下の北京。下方運動の国策のもと、青年たちは地方の農村に送り出され、北京の街で大人たちの姿は疎だ。まるで、悪ガキたちの王国のようになった街で、16歳のシャオチュンは、合鍵を作って大人たちが不在の家に忍び込んだりしていた。ある日、シャオチュンは忍び込んだ家で、赤い水着で微笑む少女の写真を目にする。彼女が仲間たちの間で話題になっているミーランだとわかると、彼女を探し出し頻繁に会うようになる。シャオチュンはミーランを仲間たちに紹介するが、兄貴分のイクーがミーランと接近するようになり、シャオチュンの心は掻き乱されていく。

日本公開：1997年4月5日