監督は、「The Inheritors（原題）」（1998年）でロッテルダム国際映画祭をはじめ国際的な映画賞を多数獲得し、映画監督としての地位を確⽴、「ヒトラーの贋札」（2007年）では、第80回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したステファン・ルツォビツキー。本作は、全編ブルーバックによる撮影で、残酷な戦争の悲劇をダークファンタジーのような世界観の中に描き出した。ロカルノ国際映画祭観客賞を受賞、オーストリア映画賞で6部⾨ノミネート、美術賞を受賞した。

第⼀次世界⼤戦が終結し、⻑く苦しいロシアでの捕虜収容所⽣活から開放された元刑事ペーターとその戦友たち。しかし、帰国した彼らを待ち受けていたのは敗戦国となり変わり果てた祖国だった。たどり着いた家に愛する家族の姿はなく、ペーターには行き場もない。そんなとき、河原で奇妙な遺体が発⾒される。被害者はペーターのかつての戦友だった。遺体には拷問の跡、そしてその痕跡は、犯⼈もペーターと同じ帰還兵であることを示していた。ペーターは真相を明らかにするためボロボロの⼼⾝に鞭打って動き始める。

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