俳優としても活動している白磯大知監督が、第30回東京学生映画祭グランプを受賞した「中村屋酒店の兄弟」（2022年）から2年ぶりとなる初長編作品。日常生活で「シャーデンフロイデ（他人の不幸は蜜の味）」を無自覚に感じたり、不器用ながら自分の人生を諦めらずに生きていく人々の生活を描くヒューマンドラマ。主人公のヒトシを演じるのは、本作で第24TAMA NEW WAVEベスト男優賞を獲得し、「ワンダーウォール」（20年）や「ABYSS」（23年）などに出演の三村和敬。親友の圭太を、オーディションで約3500人の中から選ばれ「i ai」（24年）に出演した富田健太郎が演じている。

数年前にバイク事故で死んだ友人の妻・美緒は、当時ヒトシと恋人関係だった。美緒はヒトシとの交際中、その友人と深い関係になりヒトシに別れを告げたのだった。死んでしまった友人へのやるせない気持ちと、今は隣にいない美緒の存在をどこか感じながら、ヒトシは今も自分の思いと向き合わず、言い訳とともに生きるのだった。