沖縄久高島のイラブー

公開日: 2024年08月01日

沖縄久高島のイラブー

沖縄県久高島に伝わるイラブー(エラブウミヘビ)漁とその燻製作りの様子を後世に残すドキュメンタリー。手掛けたのは東京シネマ新社の岡田一男。岡田は久高島に琉球王国時代より400年にわたって12年に一度おこなわれてきた祭礼「イザイホー」を撮影し、「沖縄久高島のイザイホー」(1979年)を発表。さらに2022年にデジタル・リメークし、貴重な映像を後世に伝える取り組みを行なってきた。本作は、1978年暮れのイザイホーの祭礼と並行して記録されたイラブーづくりの未公開映像を高画質デジタル化し、2023年秋に存命関係者の証言、10年の断絶を克服したイラブー復活当時の証言、イラブーづくりの現況と祭祀復活への努力を4K映像に記録して、伝統の技、食、信仰と三つの側面から、親から子へ、先輩から後輩へと伝える伝統継承の大切さを訴える。

イラブーは、琉球王国の時代から特別な意味を持つ生き物であり、その燻製作りはイザイホーを支える大切な構成要素の一つだった。イラブーは、海の沖から岸に寄ってくる縁起の良い海の幸=ユイムン(寄り物)、神々が人々に与える贈物と考えられ、製品は琉球王府への献上品だった。琉球王国が消滅した後も久高島のイラブー漁は続けられ、同じく久高島に残ったイザイホーの祭礼とともに、沖縄の伝統文化として残されてきたのだった。しかし、80年代末に祭祀を支えた最高神女たちが相次いで他界し、イザイホーもイラブーづくりも途絶を余儀なくされることになる。幸い、久高島の人々の努力によって、イラブー漁・燻製作りの伝統は復活を果たが、本作は、伝統が途切れる以前の様子を記録した貴重な歴史的資料である。

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2024年 /日本 /102分

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